
Kリーグで秋春制導入議論が進まない理由
Kリーグは長くプロ野球(KBOリーグ)の人気に押され、2002年の日韓ワールドカップに向けて建設された巨大スタジアムにも閑古鳥が鳴いていた。しかし各クラブの集客努力の結果、2023シーズンにようやく最多観客新記録を樹立し、「平均1万人」を実現した。
この現状の中、強引に秋春制導入すればファン離れを招き、各クラブの努力を無に帰す恐れがある。また、日本とは逆に「あまりの寒さのせいで芝が凍ってしまい、選手のパフォーマンスが低下する」という指摘もあるほどだ。「酷暑での試合を回避できる」という最大のメリットがないとなれば、Kリーグに秋春制を導入するメリットが見当たらないのだ。
欧州5大リーグが秋春制であるからといって、欧州の全てのリーグがそうなのかといえば否だ。ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどといった北欧の国や、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国、南米に目を向ければアルゼンチン以外のリーグは全て春秋制だ。
韓国の新学期は日本より1か月早い3月で、新入団選手にも合ったカレンダーでもある。デメリットを挙げるとすれば、現在のJリーグのようにシーズン途中で主力選手が欧州移籍してしまうケースが挙げられるが、だからといって何から何まで欧州5大リーグに合わせる必要はないと思われる。
大韓サッカー協会傘下である韓国プロサッカー連盟のチョ・ヨンサン事務総長は「秋春制移行検討のための公聴会」の席上で、「秋春制導入の検討は続ける。ただ、Kリーグは欧州とは違う。性急な決定は難しい」とコメントし、慎重な構えを示した。恐らくKリーグは、Jリーグの秋春制導入後の動きを見てから、本格的な導入議論に入るのではないだろうか。
ここ数年のJリーグは、夏場のゲリラ豪雨による試合中止や中断が続出している。秋春制導入の暁には、同程度かそれ以上の頻度で「大雪中止」の試合が現れるだろう。その際リーグ側は、雪国クラブが背負うことになるハンディキャップに対しどう対応するのか。Jリーグファンのみならず、これから秋春制を導入しようとする他国からも注目されていることを、Jリーグ側は認識しなければならないだろう。
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