柴崎岳(鹿島アントラーズ)や松木玖生(トルコ1部・スュペル・リグ)など、多くのJリーガーを輩出している名門、青森山田高校が、11月4日に行われた第103回の選手権大会で野辺地西高校に2-1で勝利し、28年連続で全国出場を決めた。さらに、11日に行われた新人戦(新人選手権大会)でも野辺地西を1-0で下し大会24連覇を達成。県内では公式戦414連勝中だ。
これまで黒田剛監督(J1町田ゼルビア)と現在の正木昌宣監督がチームを率いて、全国高校サッカー選手権大会4回、高円宮杯U-18プレミアリーグ3回、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)で2回優勝。高校サッカー界で圧倒先な強さを誇る。そんな青森山田はなぜ強いのか。その強さの秘訣と裏側について、4つの観点をピックアップして紹介する。
青森山田が全国屈指の強豪である理由の1つ目は青森山田中学校の存在だ。学校関係者によると、中高6年間の一貫指導を掲げているため、サッカーを続ける場合は必ず高校に内部進学する必要があるという。柴崎、松木といった選手も中学校から入学している。また、同校は私立中学の中では比較的学費が安いということもあり、選手が集まりやすいようだ。サッカー部に関しては用具等費用もかかる点はあるだろうが、費用面の負担が少ない点は魅力的だ。
2つ目は外部からも有望な選手が集まることが挙げられる。青森山田のサッカー部に入部するためには、中学校からの内部進学以外に、スカウティングで学校側から勧誘を受けるかセレクションで合格する必要がある。そのため、一般入試で高校に合格しても推薦やスカウトなどがないと入部すらできない。中には、Jリーグクラブのジュニアユース(中学生年代の下部組織)からユース(高校年代)への昇格を断り、同校に進学する選手もいるという。このように外部からも有望選手を獲得し、内部進学の部員と融合させ、チーム作りを行っていることも強さの要因となっているのではないだろうか。
3つ目は環境面。青森県は雪国として知られているため、冬場はグランドに雪が積もることが日常茶飯事である。しかし、同校はそんな中でもグランドでトレーニングを行っているため、滑るピッチや不安定な足場の中でのプレーが求められる上に極寒での練習でメンタル面も鍛えらる。
「アンダーアーマー」や「JAL」といった大手企業もスポンサーとしてバックアップしており、トレーニングルームなどの施設も充実。そこでのトレーニングが青森山田の特徴でもあるフィジカル面の強化に繋がっているのだろう。なお、2021年に在籍した選手によると、スターティングメンバ―に選出される基準にベンチプレスを90kg以上挙上できることが設定されているようだ。さらに、同校はドクターと提携もしており、強豪校にふさわしい環境が整っていると言える。
4つ目は規則や決まり事の徹底だ。サッカーの戦術面においても「攻守の切り替えや球際の強さなど、基本的なこと」を徹底的に行うことをコンセプトにしている青森山田。寮の規則もしっかり定められており、中には「練習よりも私生活が厳しい」と感じる者もいるとのこと。また、サッカー部を引退するまで、インスタグラムやXなどのSNSの使用も制限されているという。そのため、選手権大会が終了後や卒業後に同校の選手がSNSを開始することが恒例となっている。
28年連続で選手権大会に出場する青森山田。昨年度の第102回大会では王者に輝いているが、連覇を達成することはできるだろうか。
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