ユナイテッドではどうなるか?
さて、ではマンチェスター・ユナイテッドでアモリム監督はどうなるだろう。普通に考えれば、ユナイテッドでもこれまでスポルティングなどで行ってきたことをまずは目指すだろう。
サッカー解説者のジェイミー・キャラガー氏とディミタール・ベルバトフ氏(元ユナイテッド)は『Sky Sports premier league』の中で、アモリム監督下でのチームの姿を以下のように予測した。
GKアンドレ・オナナ/DFレニー・ヨロ、DFマタイス・デ・リフト、DFリサンドロ・マルティネス/DFノゼア・マズラウィ、MFマヌエル・ウガルテ、MFコビー・メイヌー、FWアレハンドロ・ガルナチョ(DFルーク・ショー)/MFブルーノ・フェルナンデス、FWマーカス・ラッシュフォード/FWラスムス・ホイルンド
ボールをつなぐスタイル中で重要な役割のCBには、ボールの扱いに優れているマルティネスを筆頭に選び、中盤にはかつてスポルティングでアモリム監督の下でプレーしたウガルテとメイヌー。マズラウィ。またキャラガー氏がガルナチョを選択したのに対し、ベルバトフ氏はショーの名前を挙げた。攻撃的ミッドフィールダーの位置には、フェルナンデスとラッシュフォード。最前線にホイルンドが並んだ。
ユナイテッドの立て直しの大きなトピックの一つは得点力の改善であることは疑いようがない。ここまで、リーグ戦9ゴールのユナイテッドは、サウサンプトン(7)クリスタルパレス(8)に続くリーグ18位の成績だ。得点への影響が少なくない攻撃的なウイングバックの必要性が高まれば、元々ウイングでプレーする選手をウイングバックとして起用することも十分あり得るだろう。実際に、アモリム監督は今シーズン17歳のウイング、FWジオバニー・クエンダをウィングバックとして起用している。
また、前述したように3トップの両翼は内側に入ってのプレーが求められる。フェルナンデスに関しては、右寄りの10番として位置に収まるかもしれないが、従来のウイングの選手はタッチラインを背にしたプレーと比べ、これまでと違う役割を求められることになる。ラッシュフォードやガルナチョ、FWアマド・ディアロがこの位置でプレーに適応できるかどうかも重要なポイントになるはずだ。
プランBの有無
では、もし既存の選手がアモリム監督のスタイルに合わなかったとしたらどうするか。根本的な舵を切るようなプランBがあるのか、それともそれでもスタイルを貫くだけのバリエーションの多彩さが本当にあるのか。
この疑問がユナイテッドにとって重要なのは、根本的なスタイルの欠如を指摘され失意のうちにユナイテッドを去った前エリック・テン・ハグ監督も、就任する前まではオランダリーグを席巻した確かなスタイルと戦術家としての腕を評価された監督だったからである。アモリム監督が実のところ、テン・ハグ監督の再来かもしれないという疑念を完全に払拭するには少し状況が似すぎている。
また、前述のメディア内でベルバトフ氏は、少なくともヨーロッパコンペティション圏内でシーズンを終えることが必要だと話した。シーズンの途中就任というスタイルを落とし込むのが難しい状況ながら、目先の勝ち点をしっかりと積み重ねる事がクラブとしての格を考えると今のユナイテッドには必要になる。そのバランスを保つこともアモリム監督には難しい仕事になるだろう。
終わりに
アモリム監督はその刺激的なキャリアから、同国のレジェンドであるジョゼ・モウリーニョ監督と比べられることがある。そのモウリーニョ監督も、アモリム監督がこれから向かうユナイテッドを根本的に立て直すことができなかった。
モウリーニョ監督がユナイテッドを率いていた時(2016-2018)「フットボール遺産(Football heritage)」という言葉を用いて、短期的な成功や単一的な要素による成功の難しさを語った。オーレ・グンナー・スールシャール監督(2008-2010)が去り、モウリーニョ監督が、ラルフ・ラングニック監督(2021-2022)が、そしてテン・ハグ監督(2022-2024)が去った。遺産は積みあがっただろうか。
新たなオーナー陣に代わり、ユナイテッド少なくとも良い方向に動き始めたはずだ。そのオーナー陣に初めて選ばれたアモリム監督は果たしてどうだろうか。
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