Jリーグ 清水エスパルス

J1昇格を果たした清水エスパルスが抱える不安要素とは…

乾貴士 写真:Getty Images

ポスト乾は?

加えて、すっかりチームの顔となった乾は来年には37歳を迎える。2018FIFAワールドカップロシア大会では日本代表をベスト16に導き、ドイツのボーフムを皮切りに、フランクフルトを経てスペインに渡り、エイバルやベティス、アラベスと渡り歩き、ラ・リーガにおける日本人選手初の100試合出場、2桁得点、2桁アシストを記録した名ウインガーの乾。

清水で3年目を迎えた今季は、トップ下に“モデルチェンジ”し、持ち前のテクニックのみならず前線でのチェイシングでもチームを助けた。

しかし不安点もある。現在の乾のプレースタイルがJ1のプレー強度に耐え得るのか。今季もフル出場時には後半30分過ぎには“ガス欠”を起こすことも多かった。昇格を逃した昨2023シーズンには“戦術・乾”とまで呼ばれるほど重要なピースだったが、やはり加齢による衰えは隠し通せない。

「ポスト乾」として真っ先に名前が挙がるのは、この日も途中出場し終盤戦のラッキーボーイとなっていた矢島だが、いかんせんJ1での実績に欠ける。


オ・セフン 写真:Getty Images

レンタル選手中心編成のツケ

FWに関しては、主将の北川を筆頭にカルリーニョス・ジュニオ、ドウグラス・タンキ、アブドゥル・アジズ・ヤクブといった助っ人外国人もおり粒揃いなのだが、その他のポジションに関して言えば補強ポイントだらけなのだ。

J2降格後の清水の補強戦略は、秋葉監督が過去に指導した“チルドレン”を加入させる傾向にあったが、舞台がJ1となるとそれにも限界があるだろう。他クラブへレンタルしている選手に目を向けても、所属クラブで活躍しているのは、町田で覚醒し韓国代表のレギュラーにまで上り詰めたFWオ・セフンと、藤枝MYFCのFW千葉寛汰くらいで、補強ポイントとも異なる。

2シーズン連続でJ2を戦うことになったことで、今季レンタル選手を中心にチーム編成せざるを得なくなったツケが返ってきているというのが、現在の清水の台所事情だ。

前述したFW陣と、元日本代表の権田が君臨するGK以外はガラリと選手が入れ替わる可能性もある清水。これまでは秋葉監督主導で選手補強が行われてきた印象があるが、「恩返し」と語り生まれ故郷である清水に戻ってきた反町GMと、アルビレックス新潟時代の教え子でもある秋葉監督のタッグが、来季“新生清水”をサポーターに示すことができるのか。腕の見せ所だ。

ページ 2 / 2

名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

筆者記事一覧