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日本サッカー協会(JFA)審判委員会は10月24日、東京都文京区のJFAハウスにてレフェリーブリーフィングを開催。9月28日の明治安田J1リーグ第32節、ヴィッセル神戸対浦和レッズの一戦において、浦和DFマリウス・ホイブラーテンが右眼窩壁骨折と鼻骨骨折の重傷を負った場面について見解を示した。
神戸が1-0とリードして迎えた後半36分、同クラブMF佐々木大樹が敵陣ペナルティエリアで浮き球をコントロール。高く上げた左足でシュートを放とうとしたところ、ヘディングでのボール処理を試みたホイブラーテンの顔にこの足が当たってしまった。
飯田淳平主審がすかさず笛を吹き、佐々木のキッキングの反則をとったものの、同選手に提示されたのはイエローカード。相手競技者の安全を脅かしているようにも見える佐々木のプレーに対し、レッドカードを提示しなかった飯田主審の判定には疑問の声が多くあがった。
この事象で佐々木にレッドカードが提示されなかった要因は何だったのか。ここでは本ブリーフィングに登壇した元国際審判員の佐藤隆治氏(JFA審判マネジャーJリーグ担当統括)の見解を紹介しながら、この点を考察していく。
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「どういうプロセスで当たったのかを見る」
激しい接触プレーを目の当たりにしたとき、審判員は何を以てカード提示の有無やカードの色を見極めているのか。佐藤氏はアジアサッカー連盟(AFC)や国際サッカー連盟(FIFA)の指針にも触れながら、現行の判定基準について説明している。
「(神戸vs浦和を含め)試合中のそうした事象については映像で確認しています。足が(相手の)顔に当たるというのは良いことではないんですけど、どういうプロセスで当たったのかを現場のレフェリーは見ます。足が相手の顔に当たったら、全部レッドカードにして良いということではありません。これはAFCやFIFAの基準でもありますが、足を高く上げる行為が無謀な範疇に入るのか、過剰な力と言えるのかを審判員は判断します」
「ただ、そのプレーが大きな怪我に繋がったり、負傷した選手の現場復帰に時間がかかるという話を聞くと、我々としても心が痛いです。ではこれらの見極めをどうするかを考えたときに、判定と結果(カードの色とファウルを受けた選手の負傷の程度)、そして感情論(そのプレーを見た人が抱いた気持ち)は必ずしも一致しないと思っています」
「レッドカードを出さなければならないものもあるなかで、サッカーという競技で接触プレーはある程度認められている。ボールが高い位置にあったときに、足を上げる行為を全部禁止にして良いのか。そうではないと思います。浮いたボールに対し入っていくタイミングもある(考慮すべき点である)でしょう」
「大きな怪我に繋がった事実を耳にすれば、『違った判定があったのではないか』と我々は考えます。ただ、そうは言っても映像を見れば、『これでレッドカードを出すのは難しい』というものもあります。逆にレッドカードを出すべきだった事象も過去にはあります。選手の安全を守るという観点が今のサッカーでは大事ですので、足裏でのタックル(スパイクの裏を相手に向けるもの)や勢いのあるタックルが厳罰化されているのと同じように、足を高く上げる行為についても我々はフォーカスしています。ただ、現場(その試合)でレッドカードを出せるか。そこの難しさはあると思っています」
「競技規則上イエローカードで正しいけど、選手の怪我に繋がっている事象があるのも理解しています。ただ、その瞬間にそれは分からないので(大怪我に至っているかどうかは、その事象が起きた瞬間には分からない)。大怪我に繋がっていたら厳罰で、怪我が大きくなければレッドカードを出さなくて良いという話でもありません。たとえファウルを受けた選手がその場でふと起き上がったり、負傷退場に至らなかったりしたとしても、(反則者の)チャレンジの仕方が相手の安全を脅かす、大怪我に繋がりかねないと判断したときはレッドカードを出す。これは十分に考えられると思います」
「バイシクルキックを含め、足を上げる行為はサッカーである程度認められていますが、周りに配慮しなければなりません。相手選手が(近くに)いるのが分かっているのに足を上げる、自分の足や足裏を相手に向けるというプレーについては、(審判員による)見極めが必要だと思います。ただ、お互いにボールへプレーした結果、足が相手の顔に当たって怪我に繋がることもあります。難しいという言葉で片付けてはいけないと思いますが、レフェリーにはそこのところ(事象のプロセス)を見なさいと言っています」
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