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C・ロナウドが長きにわたり活躍できる秘密とは?成功したポジション転向の変遷

ルイス・フィーゴ氏(レアル・マドリード所属時)写真:Getty Images

憧れフィーゴとの違い

ロナウドが目標にした選手の1人に同じくポルトガル出身のMFルイス・フィーゴ(2009年引退)がいる。2人は世代が異なるが、スポルティングのアカデミー出身で、レアル・マドリードやポルトガル代表でプレーしたという共通点がある。フィーゴのポルトガル代表での通算出場試合数は127試合は、2016年にロナウドに更新されるまで歴代最多記録だった。

2人ともドリブルを得意とするウインガーだ。フィーゴが相手DFの微妙な重心の逆をギリギリのタイミングで突いていくことに長けている一方で、ロナウドは自らのフェイントで相手の重心を崩していく傾向がある。

舞台裏:ムシアラと弟の契約延長ビデオ撮影
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フィーゴはシザーズを使ってもせいぜい1回で、2回使うことはまれだ。懐深くにボールを持ち間合いを詰めながら何気なくスルスルと相手の間を抜けていく。一方で、ロナウドはアクションが大きくアクロバティックでファンにも分かりやすい。

生涯ウインガーだったフィーゴが身長180cm体重75kgだったのに対して、ロナウドは187cm85kg。身体が大きいというのは、センターフォワードの適性の1つだ。必ずしも長身の必要はないが、味方が苦し紛れに前線に蹴り込んだボールに競り勝ってくれるとチームにとっては有り難いのだ。また、身体が分厚く手足が長いと、相手DFを背負ってポストプレーをする際にボールが奪われにくい。

つまり、ロナウドは一流のウインガーでありながら、センターフォワードとしての適性も兼ね備えていたのだ。


クリスティアーノ・ロナウド 写真:Getty Images

ベテランになりセンターフォワードとしての才能が進化

ウインガーは、主戦場であるサイドを上下運動し1対1の局面で相手の裏に突破していくプレーが多いため、ある程度の走力が求められる。加齢に伴い俊敏性が衰えるのに応じて、ロナウドは身体的な強さを獲得した。

プレーエリアがゴールに近い分、生来の得点センスが生かされてさらに得点力が増し、センターフォワードとしての才能を進化させた。そしてポルトガル代表でのポジションも、ウイングからセンターフォワードに移行。こうしてロナウドは全面的なコンバートに成功したのだった。

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名前Takuya Nagata
趣味:世界探訪、社会開発、モノづくり
好きなチーム:空想のチームや新種のスポーツが頭の中を駆け巡る。世界初のコンペティティブな混合フットボールPropulsive Football(PROBALL)を発表。

若干14歳で監督デビュー。ブラジルCFZ do Rioに留学し、日本有数のクラブの一員として欧州遠征。イングランドの大学の選手兼監督やスペインクラブのコーチ等を歴任。アカデミックな本から小説まで執筆するサッカー作家。必殺技は“捨て身”のカニばさみタックルで、ついたあだ名が「ナガタックル」。2010年W杯に向けて前線からのプレスを完成させようとしていた日本代表に対して「守備を厚くすべき」と論陣を張る。南アでフタを開けると岡田ジャパンは本職がMFの本田圭佑をワントップにすげて守りを固める戦術の大転換でベスト16に進出し、予言が的中。

宇宙カルチャー&エンターテインメント『The Space-Timer 0』、アートナレッジハブ『The Minimalist』等を企画。ラグビーもプレーし広くフットボールを比較研究。

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