バルセロナ 女子サッカー

圧倒的バルサ女子のホーム開幕戦現地レポ。連覇記録の更新へ【2024/25】

アイタナ・ボンマティ 写真:Getty Images

なでしこジャパンが苦戦したスペイン代表選手が多数所属

バルセロナは、なでしこジャパン(日本女子代表)がパリ五輪で苦しんだスペイン女子代表に、レアル・マドリードと双璧をなすように多くの選手を排出している。

エースのFWアレクシア・プテジャス(30歳)はベテランの領域に入ってきているが存在感があり、いるだけで相手に威圧感を与える。実際にこの試合でPKを獲得して得点した。

MFアイタナ・ボンマティは選手として最も脂がのっている時期にある。チャンスを量産し、自ら得点も決める危険な選手だ。アレクシアは2021年と2022年、アイタナは2023年にバロンドール(世界年間最優秀選手賞)を獲得している。

この試合では、スペイン代表のDFサルマ・パラジュエロと同FWイレーネ・パレデスが負傷欠場していたが、ポジションのどこを見回してもヨーロッパ強豪国の代表選手ばかり。ソシエダとの実力差は、やはり歴然だった。


ペレ・ロメウ監督 写真:Getty Images

監督はシンデレラストーリーを持つ実力派

キックオフ時のバルセロナのシステムは【4‐2‐3‐1】だった。そして78分の選手交代と同時に【4‐1‐4‐1】に変更した。大まかに分けると攻撃に主眼をおいてプレーする選手が前の4人だったのが、5人に増えた。つまり、終盤にさらに攻撃的になり畳み掛けたのだ。この攻撃の枚数には入れていないが、両サイドバックもかなり高いポジション取りをしていた。実に大胆な試合運びだった。

今年6月に就任となったバルセロナのペレ・ロメウ監督は、芸術一家の出身で現役時代はピボーテ(守備的MF)としてプレーしていたが負傷もあり早くに引退し、指導者に転身した人物だ。

選手としては無名だったが若手との関係構築に長けており、勉強熱心で類稀な戦術眼を持つことがバルセロナの目にとまりスカウトされてプロサッカーの世界に入った(2017年から男子ユースチームを指導)。まさにシンデレラストーリーの持ち主だ。

2021年からは、チームを連覇に導いてきたホナタン・ヒラルデス監督の右腕を務めており、現在も好調を維持。2024/25シーズンのバルセロナもタイトル獲得に向けて万全の状態にあるといってよいだろう。

ページ 2 / 2

名前Takuya Nagata
趣味:世界探訪、社会開発、モノづくり
好きなチーム:空想のチームや新種のスポーツが頭の中を駆け巡る。世界初のコンペティティブな混合フットボールPropulsive Football(PROBALL)を発表。

若干14歳で監督デビュー。ブラジルCFZ do Rioに留学し、日本有数のクラブの一員として欧州遠征。イングランドの大学の選手兼監督やスペインクラブのコーチ等を歴任。アカデミックな本から小説まで執筆するサッカー作家。必殺技は“捨て身”のカニばさみタックルで、ついたあだ名が「ナガタックル」。2010年W杯に向けて前線からのプレスを完成させようとしていた日本代表に対して「守備を厚くすべき」と論陣を張る。南アでフタを開けると岡田ジャパンは本職がMFの本田圭佑をワントップにすげて守りを固める戦術の大転換でベスト16に進出し、予言が的中。

宇宙カルチャー&エンターテインメント『The Space-Timer 0』、アートナレッジハブ『The Minimalist』等を企画。ラグビーもプレーし広くフットボールを比較研究。

筆者記事一覧