
中間:マンチェスター・ユナイテッド(プレミアリーグ)
ネームバリューのある経験豊富な選手を獲得してチームを強化する方法に見切りをつけたのか、今夏マンチェスター・ユナイテッドが獲得した選手を見てみると、ポジションごとに複数のターゲットに狙いを定めている感がある。
リールから若手DFレニー・ヨロ(6200万ユーロ/約97億円)、PSGからMFウガルテ、ボローニャからFWジョシュア・ザークツィー(4250万ユーロ/約66億円)、バイエルン・ミュンヘンからは、日本代表DF伊藤洋輝に押し出される形でマタイス・デ・リフト(4500万ユーロ/約70億円)とDFヌセール・マズラウイ(1500万ユーロ/約23億円)を獲得した。
新戦力の半数が、エリック・テン・ハフ監督とオランダ1部のアヤックス・アムステルダムで成功を得ていた選手だ。また、DFラファエル・ヴァラン(コモ)やFWアントニー・マルシャルといった、高額な給与に伴った働きをしなかった選手たちは退団していった。以前のクラブの姿からほど遠いのが現状だが、これは未来の成功への布石と捉えたい。

中間:リバプール(プレミアリーグ)
日本代表キャプテンMF遠藤航も放出されるのではないかと噂の絶えなかったリバプールの移籍市場は、ほとんど動きを見せなかった。
前ユルゲン・クロップ監督が去った中、ファンは補強がうまくいかずイライラと不安を抱きながら新シーズンを迎えたが、目下絶好調であり既存戦力の厚みをまざまざと見せつけられた格好だ。レアル・ソシエダのMFマルティン・ズビメンディに移籍を拒否されたことで、昨年から囁かれている6番のポジションの強化を果たせなかったことは悔やまれる。
しかし、世界最高の若手GKとして期待の高いGKギオルギ・ママルダシュヴィリを、来夏加入という条件付きで獲得した。またユベントスから、怪我が多いとはいえイタリア代表のFWフェデリコ・キエーザをわずか1300万ユーロ(約20億円)というバーゲン価格で獲得したことは、評価に値するのではないだろうか。
DFフィルジル・ファン・ダイク、DFトレント・アレクサンダー=アーノルド、FWモハメド・サラーの去就も気になるが、冬の移籍市場もしくは来夏の移籍市場で大きな動きが出てくることが予想される。

敗者:チェルシー(プレミアリーグ)
多数の選手が入団と退団をする慌ただしい夏を過ごしたチェルシー。MFコナー・ギャラガー(アトレティコ・マドリード)やDFトレヴォ・チャロバー(クリスタル・パレス)といったい同クラブ出身の選手を放出し、経験豊富なFWラヒーム・スターリングはアーセナルへレンタル移籍させるという奇妙な行動をとった。
クラブはFWロメル・ルカク(ナポリ)、DFルイス・ホール(ニューカッスル・ユナイテッド)など多くの選手を放出して、約1億8890万ポンド(約350億円)の売却金を手にしている。しかし、DFベン・チルウェル、FWダトロ・フォファナ等は移籍先が決まらず、飼い殺しの状態になりそうだ。
移籍市場の後半にFWジェイドン・サンチョとFWジョアン・フェリックスを獲得したことを忘れてはならないが、クラブの共同オーナーが互いの買収を検討しているなど上層部の内紛が発覚し、厳しい批判を浴び続けている。

敗者:バルセロナ(ラ・リーガ)
アスレティック・ビルバオのFWニコ・ウイリアムズの獲得に失敗し、6,000万ユーロ(約93億円)で獲得したFWダニ・オルモの登録のために必死でコスト削減に努めるなど、別の意味で市場を賑わしたバルセロナ。
DFジュリアン・アラウージョ(ボーンマス)が退団。DFクレマン・ラングレ(アトレティコ・マドリード)、FWビトール・ロケ(レアル・べティス)、MFオリオール・ロメウ(ジローナ)はローン移籍。放出に伴う収入が少ないことが指摘されており、金策がここ数年の課題なのはいうまでもない。しかし、FWパウ・ビクトルを獲得したことは評価されている。
また、オルモの獲得で犠牲になったMFイルカイ・ギュンドアンが、わずか1年でマンチェスター・シティになんと移籍金なしで帰還するなど、金銭面の課題が散見され移籍市場で完全な負け組だといわざるを得ない。

敗者:ニューカッスル・ユナイテッド(プレミアリーグ)
ニューカッスル・ユナイテッドは、残念なことに新戦力の加入はなかった。クリスタル・パレスのDFマーク・グエーイの獲得は失敗に終わり、他の選手との契約のニュースは入ってこなかった。
獲得に本腰だったイングランド2部バーンリーのGKジェームス・トラフォードも空振りに終わり、ノッティンガム・フォレストのFWアントニー・エランガの獲得も失敗に終わった。さらに、売りに出したMFミゲル・アルミロンも買い手が見つからなかった。
同クラブは2年前にFWアレクサンデル・イサクとMFブルーノ・ギマランイスを獲得してトップクラブへの道を模索したが、それ以降に目立った移籍は完了せず、今冬以降の巻き返しに期待したい。
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