Jリーグ

町田FW藤尾の“PK前ボール水かけ”騒動から考える審判員の責務【JFA会見】

JFA審判 写真:Getty Images

「レフェリーによってサッカー観は異なる」

先に述べた通り、藤尾は今季の他の試合でもPK直前にボールを濡らしており、このときはお咎めなし。佐藤氏による一連の説明を受け、報道陣のひとりが高崎主審の措置へ疑問を投げかけた。

ーこの試合以前にも同じことがあったのに、なぜ高崎さんだけボール交換を指示したのか。この点が腑に落ちない。今回高崎さんが下した判定が、今後どうなっていくのか(他の審判員も同様の措置をとるのか)。

「レフェリーによって審判観やサッカー観が異なりますし、そもそも(捌いている)ゲーム自体が違いますよね。また、相手GKが反応したとき(ボールへの水かけに不快感を示したとき)だけ審判が対応するのかと言われたら、そうでもないと思います。こうしたリスクを考えて審判員が早めに介入することもあります。ですので、1つ目や2つ目の試合(町田vs磐田戦以前)でレフェリーの対応がどうだったかという点につきましては、ここで何か言及することはないです」

競技規則の内容がシンプルであるがゆえに、主観的な判断・判定を多く求められるのがサッカーという競技の醍醐味。だからこそ各審判員の裁量は、競技規則を逸脱しない範囲で尊重されるべき。この佐藤氏の豊かな審判キャリアに裏打ちされた信念が、ひしひしと伝わってくる回答だった。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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