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上田綺世所属フェイエノールト対アヤックス、伝統の一戦が中止になった訳

上田綺世 写真:Getty Images

 日本代表FW上田綺世が所属するオランダ1部フェイエノールトとアヤックス・アムステルダムの伝統の一戦「デ・クラシケル」は、8月25日に開催予定だった。しかし、オランダ警察のストライキがあり、会場フェイエノールト・スタディオン(デ・カイプ)のあるロッテルダム市当局が試合の開催を禁止したために中止となった。

 デ・クラシケルは、毎年リスクの高い試合と認知され過去にも問題が発生しており、2009年以来アウェイの観客が入場できないことになっている。それでも平穏に終わる保証はなく、昨2023/24シーズンにアヤックスのホームで行われた同試合もアウェイのサポーター不在の中、フェイエノールトが6対0と勝利した一方的な試合展開により完全に混乱した。試合中には花火がピッチに投げ込まれ、試合後には何百人ものアヤックスサポーターが暴力的にメインゲートを襲撃するという事態が起こった。

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 また、デ・カイプで行われる同試合では、ここ数年アヤックスのサポーターが不在にも関わらず、アヤックスのバスへの襲撃を避け誘導するために200人から300人の警察官を必要とすると伝えられている。

 デ・クラシケルは、アヤックスが首都のエリート層を代表し、フェイエノールトがロッテルダムの労働者階級を代表するという、歴史的に見ても社会的な格差を象徴する対立である。単なるサッカーの試合を超えて、それぞれの街のアイデンティティや文化、誇りが衝突する舞台。そのため常に激しい感情がぶつかり合う試合となり、ピッチ上での闘いだけでなく街全体を巻き込む熱狂的な雰囲気が生まれている。こうした背景が、この対決をオランダサッカー界における特別な存在にしている。