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酸攻撃被害のマレーシア代表主将、カップ戦ベンチ入りで奇跡のカムバック

ファイサル・ハリム 写真:Getty Images

 今年5月にショッピングモールで酸を浴びせかけられて重度の火傷を負い、選手生命の危機に晒されていたマレーシア1部セランゴール所属の同国代表FWファイサル・ハリム(26歳)が、8月初めに行われたマレーシアFAカップ準決勝セカンドレグのトレンガヌ戦で事件後初のベンチ入りを果たした。試合はセランゴールが4-1で勝利(2試合トータル6-4)して決勝に駒を進めた。

 ファイサル・ハリムは、顔全体を覆う黒いフェイスガードを着用した姿で登場。この試合では出場機会がなかったが、復帰に向けて大きな前進となった。試合前のウォームアップに参加した同選手をサポーターたちは暖かい拍手と声援で迎えた。

 試合後、ファイサル・ハリムは「この勝利はサポーター皆さんのもの。今の僕は強い気持ちで臨んでいる。まだ状態が完全ではなく、たとえ試合に出られなくとも、チームメイトにモチベーションを与えたいと思う。事件から3か月。辛い日々だったが、今日こうしてピッチに戻ることができ、再スタートを切ることができた」と話した。

 ファイサル・ハリムは5月5日夜、セランゴール州ペタリン地区コタ・ダマンサラにあるショッピングモールで、友人らといたところを不審なグループから酸をかけられて負傷した。筋肉や骨にまでダメージが及ぶ重度の火傷を負ったことで選手生命が危ぶまれていたが、医師らによる懸命な治療と患者本人の弛まぬ努力のおかげで、奇跡のカムバックを果たした。

 ファイサル・ハリムは、マレーシア代表で主将を務めるスター選手。マレーシア代表として32試合に出場し、これまでに15ゴールを記録。年始に行われたアジアカップでは、グループステージ最終節の韓国戦でゴールを決めており、3-3のドローに貢献した。なお、このゴールはAFCによって大会ベストゴールに選ばれている。