多くの優秀な選手が存在する21世紀のサッカーシーン。最高のサッカー選手をめぐる議論が止むことはないだろう。2024年7月23日、アメリカ発の世界的なスポーツ専門チャンネル『ESPN』が21世紀の男子サッカー選手トップ25ランキングを発表した。サッカー界のレジェンドたちをどのようにランク付けしたのだろうか?
何千もの投票を集計した結果と思われるが明らかに近年の選手が多く、デビッド・ベッカム(イングランド)やロベルト・カルロス(ブラジル)の様な実績を残した選手も入っていないため、意見が分かれることは間違いない。引退した選手も含まれていることから、ここでは各選手を代表国別で紹介しよう。
1位:リオネル・メッシ(アルゼンチン)
故ディエゴ・マラドーナ氏やガブリエル・バティストゥータ氏を抑え、アルゼンチン代表では109得点を記録しており、同代表の歴代最多得点王でもある。名誉ある個人賞として知られる『バロンドール』も8回受賞。2021年には14歳から在籍していたバルセロナを離れたが、奇しくもそれが代表活動に専念できる要素となったのか、2022年にFIFAワールドカップ(W杯)優勝、2021年と2024年にはコパ・アメリカでも優勝するなど、アルゼンチン代表として円熟の時を過ごしている。
2位:クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)
ポルトガルの英雄クリスティアーノ・ロナウド。バロンドールを5回受賞しているほか、国際試合(男子)での最多得点記録(130得点)保持者でもある。ポルトガル代表として、2016年にUEFA欧州選手権優勝、2018/19シーズンにはUEFAネーションズリーグでも優勝している。特徴は何といっても「最高の才能を持つアスリートでありながら勝利への意欲と意志を前面に表すスタイル」ではないだろうか。
3位:ティエリ・アンリ(フランス)
フィジカル、知性、決断力を兼ね備え、21世紀のサッカー界で背番号9の役割に革命をもたらしたティエリ・アンリ。彼の最たる偉業は間違いなく、アーセナル(イングランド)所属時に達成した2003/04シーズンのプレミアリーグ無敗記録だろう。フランス代表としては、1998年にW杯優勝、2000年にUEFA欧州選手権で優勝している。
4位:ジネディーヌ・ジダン(フランス)
エレガントなボール捌きや驚異的な技術力で、見る者にサッカーの芸術性を伝えたジネディーヌ・ジダン。1998年のW杯決勝で2ゴールを決めたことはサッカー史で永遠に語り継がれるだろう。さらに、2001/02シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦でのボレーシュートは『CNN』などのメディアで「サッカー史上最も素晴らしいゴールの一つ」と評価されている。1998年W杯優勝、2000年UEFA欧州選手権優勝。1998年バロンドール受賞。
5位:ルカ・モドリッチ(クロアチア)
レアル・マドリード(スペイン)での最多トロフィー獲得数を誇るルカ・モドリッチは、レアルの名将カルロ・アンチェロッティに「世界最高の選手であると同時に人間的にも素晴らしい」と言わしめた。2018年、クロアチア代表をW杯決勝に導いたことがハイライトか。2018年バロンドール受賞。
6位:キリアン・ムバッペ(フランス)
18歳でフランス代表に選出され、19歳でW杯優勝を経験しているキリアン・ムバッペ。2018年には「W杯決勝でゴールを決めた史上2人目の10代選手」としてペレと並んだムバッペは世界を席巻。2022年のW杯決勝(アルゼンチン戦)でもハットトリックを達成し規格外の選手として名を馳せた。2024年に移籍したレアル・マドリード(スペイン)での活躍も期待せずにはいられない。
7位:アンドレス・イニエスタ(スペイン)
2010年7月11日、エレガントで巧みなサッカー選手であるアンドレス・イニエスタがスペインサッカーの歴史を塗り替えた。南アフリカ(ヨハネスブルグ)で行われたW杯決勝。0-0のまま延長戦に突入した試合で、116分にゴールを決め母国を初の栄冠に導いた。
8位:シャビ・エルナンデス(スペイン)
2000年にスペイン代表デビューを果たした後、中心選手として通算133試合に出場したシャビ・エルナンデス。バルセロナ(スペイン)が創始した“チキタカ・ショートパススタイル”(サッカーのプレースタイルのひとつ)の神髄を体現した選手で「史上最高のMF」との呼び声も高い。また、バルセロナではクラブ史上初めて国際試合150試合に出場。スペイン代表として、2010年W杯優勝、2008年と2012年にUEFA欧州選手権で優勝している。
9位:ロナウド・ナザリオ(ブラジル)
サッカー史上最も速く最も力強くゴールを決められるストライカーであったロナウド・ナザリオ。ブラジルが生んだ歴代最高ストライカーといっても過言ではないだろう。ブラジル代表として、W杯で2回優勝(1994, 2002)、コパ・アメリカでも2回優勝(1997, 1999)しており、バロンドールも2度受賞している。
10位:ロナウジーニョ(ブラジル)
サッカー史に残る最高のスキルを持ちながら、高い得点能力も備えていたロナウジーニョ。攻撃のポジションはどこでもこなせたが、MFの典型的な10番が一番似合っていたのではないだろうか。ブラジルが生んだ世界最高のフリーキッカーであり、ペナルティキックのスペシャリストでもあった。1999年コパ・アメリカ優勝、2002年W杯優勝のほか、バロンドールも受賞している。
11位:ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン)
2000年以降、メッシ、クリスティアーノ・ロナウドに次いで通算500ゴールを達成した史上3人目の選手であるズラタン・イブラヒモビッチ。24年のプロ生活で全511ゴールの記録を持つスウェーデン代表の歴代最多得点王だ。本来、右利きのイブラヒモビッチだが、左右両足でペナルティエリア外からもゴールを狙えるパワフルなストライカーであった。2015/16シーズンにはパリ・サンジェルマン(フランス)の全コンペティション51試合に出場し、50ゴールという偉業も成し遂げた。
12位:ケビン・デ・ブライネ(ベルギー)
完璧な攻撃型MFで、ベルギー黄金世代の中心人物といえるケビン・デ・ブライネ。2015年から所属するマンチェスター・シティー(イングランド)での活躍は目覚ましく、近年のプレミアリーグで最も安定したプレーヤーといえるだろう。2018年にはベルギー代表としてW杯の3位入賞に貢献した。
13位:トニ・クロース(ドイツ)
2014年から2024年の引退まで10年間所属したラ・リーガ(スペイン)のレアル・マドリードで、実に20,780本のパスを成功させたトニ・クロース。93.6%にのぼるパス成功率は、5,000分以上プレーした選手の中でリーグ最高記録だ。惜しくも2023/24シーズンを最後に引退したが、レアルの中盤のテンポを作った偉大な男だった。ドイツ代表として2014年にW杯優勝。
14位:セルヒオ・ラモス(スペイン)
近年のスペイン代表やレアル・マドリードの代表的DFといえばセルヒオ・ラモスだろう。2013/14シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝で魅せた終了間際の劇的同点ゴールが、レアルを12年ぶりとなる栄冠へと導いた。スペイン代表として2010年にW杯優勝、2008年と2012年にUEFA欧州選手権で優勝している。
15位:カルレス・プジョル(スペイン)
“バルセロナ史上最高のキャプテン”と評されたこともあるカルレス・プジョルは、チームを鼓舞するリーダーであった。スペイン代表として出場した100試合でゴールはわずか3得点のプジョルだが、2010年のW杯準決勝(ドイツ戦)では、スペインを史上初のW杯優勝へ導く歴史的なゴールを決めた。2010年W杯優勝、2008年UEFA欧州選手権優勝。
16位:カリム・ベンゼマ(フランス)
2009年、21歳でレアル・マドリード(スペイン)に入団し、その後2022年には世界最高の選手へ送られるバロンドールを受賞したカリム・ベンゼマ。クリスティアーノ・ロナウドをサポートし、多くのトロフィー獲得に貢献した素晴らしいチームプレーヤーでもあった。ロナウドのレアル退団後2018/19シーズンから5シーズンにわたり得点力が爆発。5年間で30得点、27得点、30得点、44得点、31得点を決め、さらには得意のアシストも計51を記録。フランス代表として2020年にUEFAネーションズリーグ優勝。
17位:セルヒオ・ブスケツ(スペイン)
ピッチの幅と奥行きを常に把握し、瞬時にパスの方向や次のプレイを判断する世界最高峰のアンカーであり、かつて“バルセロナの心臓”とも称されたセルヒオ・ブスケツ。彼が中盤の底を固め攻撃の起点とならなければ、スペイン代表とバルセロナの成功は無かったといっても過言ではないだろう。スペイン代表として、2010年W杯優勝、2008年と2012年にUEFA欧州選手権で優勝している。
18位:ロベルト・レバンドフスキ(ポーランド)
ドイツ1部のブンデスリーガにおける1シーズンでの最多得点記録(41点)保持者であり、ポーランド代表でも最多の81ゴールを決めているロベルト・レバンドフスキは、21世紀で最も安定し技術的にも優れたFWの一人だ。バイエルン・ミュンヘン(ドイツ1部)に在籍していた8シーズン全てにおいてマイスターシャーレ(ブンデスリーガ優勝クラブに授与されるトロフィー)を掲げていたという事実にも驚かされる。
19位:カカ(ブラジル)
攻撃的MFとして、華麗なプレーよりも正確かつ的確な判断、爆発的な加速力、持続的なパワー、視野の広さとゴールへの嗅覚が際立っていたカカ。2024年時点では、バロンドールに選ばれた最後のブラジル人である(2007年受賞)。ブラジル代表として2002年にW杯優勝。
20位:ネイマール(ブラジル)
2011年ブラジル1部のサントスでプレイしていた当時、欧州のクラブでプレーしていないにも関わらず、史上初めてバロンドール候補に入ったネイマール。メッシとロナウドの陰に隠れバロンドールへの道は険しすぎたが、バルセロナでのMSN(メッシ、スアレス、ネイマールの頭文字をとった愛称)の活躍はサッカー史に語り継がれるであろう爆発力を発揮していた。
惜しくもベスト20入りしなかった選手
21位:アンドレア・ピルロ(イタリア)
22位:ウェイン・ルーニー(イングランド)
23位:パトリック・ヴィエラ(フランス)
24位:ルイス・スアレス(ウルグアイ)
25位:ジャンルイジ・ブッフォン(イタリア)
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