代表チーム EURO

ユーロ2024の衝撃的なジャイアントキリング4選

エリク・ヤンジャ 写真:Getty Images

スロベニア(FIFAランキング57位):全4試合ドローで史上初の16強

スロベニアはグループCでデンマーク代表(1-1)、セルビア代表(1-1)と引き分けると、イングランド代表とはスコアレスドローで勝点をせっせと稼いだ。

3分、勝点3のグループ3位で、全グループの3位のうち4番目という当落線ギリギリでノックアウトステージに進出。すると、ポルトガル代表相手に延長戦の105分にはFWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)のPKを止めて号泣させる。延長戦でも0-0で、PK戦(0-3)の末に敗退した。ポルトガル戦はPK戦で敗退したので公式記録は引き分けだ。

これはもう実力といっていい。4試合を戦い無敗で全ての試合で引き分けたのは見事というほかない。この「引き分け力」は弱小チームが大会に臨むうえで大いに参考になるだろう。

スロベニアは旧ユーゴスラビア圏でサッカーが盛んな地域だが、人口は約212万人で長野県とほぼ同じであり、史上初のベスト16に進出した凄さがよく理解できるだろう。


フビチャ・クバラツヘリア 写真:Getty Images

ジョージア(FIFAランキング74位):ポルトガルに完勝

人口が約399万人で静岡県とほぼ同じジョージアは、グループFでトルコ代表に1-3と大敗。チェコ代表相手には先制するも追いつかれて1-1のドローで、第3戦は優勝経験がありすでにグループ通過を決めているポルトガル代表が相手だ。

ポルトガル戦では試合開始早々の2分にFWクヴィチャ・クワラツヘリア(ナポリ)が先制すると、57分にPKをFWジョージズ・ミカウタゼ(メス)が決めて2-0で大会初勝利。ボールポゼッションはポルトガルの68%に対してジョージアが32%。攻撃回数は99回に対して18回。シュート数は23本に対して7本だ。圧倒的に劣勢ながら、結果は完勝。実に痛快な大物食いをやってのけた。

1勝1分1敗、勝点4のグループ3位でノックアウトステージに進出しダークホースとなったジョージアは、スペイン代表と対戦し1-4で大敗した。

しかし、そもそもグループを勝ち抜けると思われていなかった。ユーロ初出場でノックアウトステージに進出したジョージアの躍進は予想外であり、清々しい気持ちで大会をあとにした。

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名前Takuya Nagata
趣味:世界探訪、社会開発、モノづくり
好きなチーム:空想のチームや新種のスポーツが頭の中を駆け巡る。世界初のコンペティティブな混合フットボールPropulsive Football(PROBALL)を発表。

若干14歳で監督デビュー。ブラジルCFZ do Rioに留学し、日本有数のクラブの一員として欧州遠征。イングランドの大学の選手兼監督やスペインクラブのコーチ等を歴任。アカデミックな本から小説まで執筆するサッカー作家。必殺技は“捨て身”のカニばさみタックルで、ついたあだ名が「ナガタックル」。2010年W杯に向けて前線からのプレスを完成させようとしていた日本代表に対して「守備を厚くすべき」と論陣を張る。南アでフタを開けると岡田ジャパンは本職がMFの本田圭佑をワントップにすげて守りを固める戦術の大転換でベスト16に進出し、予言が的中。

宇宙カルチャー&エンターテインメント『The Space-Timer 0』、アートナレッジハブ『The Minimalist』等を企画。ラグビーもプレーし広くフットボールを比較研究。

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