2024明治安田J1リーグ第19節の全10試合が、6月22日と23日に各地で行われた。湘南ベルマーレは22日、本拠地レモンガススタジアム平塚でFC東京と対戦。最終スコア0-1で敗れている。
同リーグ全38節中19試合消化時点で、J2リーグ降格圏の18位に沈んでいる湘南。同クラブがシーズン後半戦に向け解決すべき課題は何か。ここでは湘南の2024シーズン前半戦を振り返るとともに、この点に言及していく。
徹底しきれなかったロングパスの送り先
今季序盤、[4-4-2]と[3-1-4-2]の2つの基本布陣を使い分けていた湘南の山口智監督。最終スコア1-2で敗れた開幕節の川崎フロンターレ戦では[4-4-2]を採用し、GK富居大樹のロングパスを攻撃の初手としていた。
ロングパスの送り先は相手にボールが渡ったとしても速攻に直結しにくく、相手GKとしても飛び出しづらいサイドバック(ウイングバック)の背後に設定するのが得策と言える。相手サイドバックの体の向きを変え、楽な体勢でクリアできないようなロングパスを攻撃の初手とするのが理想的だが、開幕節の湘南はこのセオリーに反する攻撃を連発。ロングパスの送り先に問題があった。
GK富居のロングパスは主に相手2センターバック(大南拓磨と高井幸大の両DF)の背後や手前に落ちており、仮に彼らの背後へボールが落ちたとしても、相手GKが飛び出して対応しやすい。また、ロングパスが相手センターバック手前に落ちてこれを弾き返された場合、このボールがそのまま相手チームの速攻や中央突破に繋がりかねない。湘南はこの試合で、まさにこの現象に陥っていた。
前半24分の川崎Fの同点ゴールは、富居のゴールキックが自陣に落ちたことで生まれたもの。このボールを回収した川崎Fが速攻を仕掛けると、MF家長昭博の横パスを受けたMF脇坂泰斗が、ペナルティアークの後方からミドルシュートを放つ。これがゴールネットに突き刺さった。
第2節京都サンガ戦以降はサイドへのロングパスが増え、幾度となくチャンスを作ったものの、第9節ヴィッセル神戸戦では中央で構えるFWルキアンへのロングパスがメインに。ゆえに湘南はボールを奪われては神戸の速攻や中央突破を浴び、試合の主導権を握れず最終スコア0-1で敗れている。シーズン後半戦での巻き返しに向け、攻撃の初手となるロングパスの送り先を再考すべきだ。
昨季から続く悪い攻撃配置
GKや最終ラインからのパス回し(ビルドアップ)における選手配置が悪く、ゆえに相手チームの最前線からの守備(ハイプレス)の餌食となるケースが昨2023シーズンから続いている湘南。基本布陣[3-1-4-2]のウイングバック、及び[4-4-2]のサイドバックが自陣後方タッチライン際でボールを受けることで片側のパスコースを失い、相手選手に寄せられては次のプレー選択に困る。今季序盤もこの現象をなかなか改善できなかった。
特に[4-4-2]の布陣で臨んだ試合の攻撃配置の悪さは顕著で、第5節セレッソ大阪戦の前半22分には、湘南DF杉岡大暉(左サイドバック)が自陣後方タッチライン際且つ相手サイドハーフ(ウイングFW)の手前に立ってボールを受けてしまっている。これと同時にC大阪MFルーカス・フェルナンデスに縦のパスコースを塞がれた杉岡は味方DFキム・ミンテへのバックパスを選んだが、この軌道が逸れて相手ボールとなり、大ピンチを招いている。[4-4-2]の初期配置からどのように隊形変化し、相手のハイプレスを掻い潜るのか。この点を全く突き詰められていないことが、この試合で証明されてしまった。
また、[3-1-4-2]で臨んだ試合ではビルドアップ時に3センターバックの立ち位置が横に開きすぎることで、パスコースが無くなるケースもちらほら。この最たる例が、最終スコア1-2で敗れた第17節ガンバ大阪戦の1失点目(前半29分)の場面だ。
湘南GKソン・ボムグンがペナルティエリアでボールを保持したこの場面では、3センターバックの左右を務めたDF大野和成とMF鈴木雄斗が、タッチライン際へ開きすぎてしまっている。ゆえに自陣後方タッチライン際に立った右センターバックの鈴木雄斗が、G大阪のFWウェルトン(左サイドハーフ)に捕捉されてしまった。
これに加え、3センターバック中央を務めたMF鈴木淳之介と左センターバック大野の距離も開きすぎたため、ボールを失った直後の守備がしにくい状態に。GKソンの縦パスをG大阪MF鈴木徳真にカットされたうえ、同クラブFW山下諒也にラストパスを繰り出されると、これを受けたFW宇佐美貴史への鈴木淳之介の寄せが間に合わず。最終的には宇佐美に先制ゴールを奪われた。
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