EURO フランス代表

負傷ムバッペを温存したフランス、オランダに勝ちきれなかった理由【ユーロ2024】

マルクス・テュラム 写真:Getty Images

攻撃回数とシュートはフランスが倍以上

試合のデータは、ボールポゼッションがオランダの42%に対してフランスが58%。攻撃回数は、オランダの26回に対してフランスが57回。シュートは、オランダの7本に対してフランスが16本と、フランスが優勢に進めたが得点はならなかった。

理由としては、絶対的なエースであるムバッペが出場しなかったこともある。しかし両チームとも初戦に勝利しており、この試合で引き分けに終わっても十分に決勝トーナメント進出に向けて前進であり、大きなリスクを冒してまで無理な攻撃をすることはなかったことが挙げられる。

守勢にまわりがちだったオランダとしては勝点1を積み上げたことは大きな成果だ。フランスとしては勝ちきれなかったことが悔やまれるが、悲観的な状況ではないだろう。


エンゴロ・カンテ 写真:Getty Images

カンテは小柄なMFのお手本

この試合、フランスのMFエンゴロ・カンテ(アル・イテハド)は冴え渡っていた。身長169cm、体重68kgと平均的な日本人とほとんど変わらない体格で、33歳とベテランの領域に達していながら、高いアジリティを維持しておりプレーの嗅覚が鋭い。

重要な局面でいたるところに顔を出して、攻守においてフランスのゲームの軸となっていた。これぞ「ボックストゥボックス・ミッドフィールダー(攻守に幅広く動く運動量豊富なMF)」だ。

小柄ながら、大男たちが体をぶつけ合って戦うイングランドのプレミアリーグでチェルシー(2016-2023)のMFとして長年プレーした実力は伊達ではない。

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名前Takuya Nagata
趣味:世界探訪、社会開発、モノづくり
好きなチーム:空想のチームや新種のスポーツが頭の中を駆け巡る。世界初のコンペティティブな混合フットボールPropulsive Football(PROBALL)を発表。

若干14歳で監督デビュー。ブラジルCFZ do Rioに留学し、日本有数のクラブの一員として欧州遠征。イングランドの大学の選手兼監督やスペインクラブのコーチ等を歴任。アカデミックな本から小説まで執筆するサッカー作家。必殺技は“捨て身”のカニばさみタックルで、ついたあだ名が「ナガタックル」。2010年W杯に向けて前線からのプレスを完成させようとしていた日本代表に対して「守備を厚くすべき」と論陣を張る。南アでフタを開けると岡田ジャパンは本職がMFの本田圭佑をワントップにすげて守りを固める戦術の大転換でベスト16に進出し、予言が的中。

宇宙カルチャー&エンターテインメント『The Space-Timer 0』、アートナレッジハブ『The Minimalist』等を企画。ラグビーもプレーし広くフットボールを比較研究。

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