ビルドアップにも問題あり
ビルドアップ時に両サイドバックのどちらかを高い位置へ置き、4バックの残り3人で3バックを作る形も見せていた湘南だが、攻撃配置が悪い場面もあった。
この最たる例が、前半22分の湘南の攻撃シーンだ。ここでは湘南の左サイドバック杉岡が自陣後方タッチライン際、且つ相手サイドハーフ(ウイングFW)の手前に立ってボールを受けたため、C大阪MFルーカス・フェルナンデスのプレスをもろに浴びている。フェルナンデスに縦のパスコースを塞がれた杉岡は味方DFキム・ミンテへのバックパスを選んだが、この軌道が逸れて相手ボールとなり、ピンチを招いてしまった。
パスミス自体も問題だが、そもそもビルドアップ時の杉岡の立ち位置が悪すぎたと言える。サイドバックがこの位置でボールを受けた場合、自身の傍にはタッチラインがあるため、左右どちらかのパスコースが必然的に消える。先述の通り縦のパスコースも塞がれやすく、ゆえにこの位置でのボール保持はリスクが高い。サイドバックやウイングバックがこの位置でボールを受け、ビルドアップを停滞させてしまうのが湘南の昨年からの悪癖であり、これが今節も見受けられた。
この悪癖をなかなか改善できなかった湘南は、昨年のJ1リーグ第7節から第21節の15試合勝ち無し、第23節からの4試合も勝利から遠ざかるなど、大不振に喘いでいる。この問題の根絶が上位進出に向けて欠かせない。
尾を引いた決定機逸
ビルドアップ時のポジショニングに難があったものの、杉岡は敵陣で精度の高いクロスを連発。前半32分にルキアン、後半8分に鈴木雄斗が同選手のクロスからシュートを放ったが、いずれも相手GKキム・ジンヒョンの好セーブに阻まれてしまう。決定機を逃し続けた湘南は、後半15分に相手DF舩木翔にコーナーキックのチャンスを物にされ失点。同37分には途中出場の相手FW北野颯太に最終ラインの背後を突かれ、試合の趨勢を決するゴールを奪われてしまった。
北野のゴールが生まれる直前、湘南の山口監督はFW福田翔生を投入し、これと同時に右サイドバック鈴木雄斗をセンターバックへ移す。この直後の失点が悔やまれるほか、相手サイドバックとサイドハーフ(ウイングFW)の間に適宜立ち、味方からのパスを引き出せる鈴木雄斗を右サイドから外してしまったことで、同クラブの攻撃力が低下。反撃ムードを醸成できなかった。劣勢時の交代カードの切り方やその後の布陣を再考すべきだろう。
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