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バーミンガム三好康児が激白! ルーニー監督電撃解任の裏側【現地取材】

ウェイン・ルーニー監督 写真:Getty Images

データから見えるルーニー政権の問題点

15戦9敗という結果以外にも、データを通して見るとルーニー・サッカーの問題点が浮かび上がる。現地メディアのスカイ・スポーツが行った前ユースタス政権とルーニー政権の比較では、平均ゴール数が1.2だったユースタス時に対し、ルーニー時は1だった。また、平均シュート数も前者の12.6に対し後者は12.06と僅差しかない。さらに決定機の割合を比較すると、前者が0.9で後者が0.93とルーニー指揮下の方が上回っていることがわかる。攻撃面で大きな差はなかった両政権だが、結果に差が出た要因として守備面での問題がある。ユースタス時には平均失点数が1だったのに対し、ルーニー監督下では2とその差は2倍だった。

前出のディケンズ記者は、ルーニー・サッカーについて「スタイルが適していなかった。あまりに早急にスタイルを変えたことで最初の3試合で大量失点し、それ以降守備が脆くなり肝心のポゼッションができなくなった」と指摘した。三好自身も「ちょっとミスが重なるとどんどんボールを後ろに下げちゃって、前に行きたい自分たちと守りたい守備陣とチーム全体として目的が定まらなかった。センターバックやボランチの選手はあまりボール扱いが得意ではない。なかなか前を見てくれる選手たちではないので、結局ボールを裏に蹴っちゃう」と振り返っている。

昨年10月のルーニー監督就任時「自分としてはポゼッションサッカーが楽しみ」とも話してた三好だが、ルーニー氏の描いていたスタイルを実現することは予想以上に難しかったようだ。これらのことから、ルーニーサッカーがバーミンガムで大成できなかった大きな要因として、目指すスタイルと実際にプレーする選手との特性の間でミスマッチがあったことが挙げられるだろう。また、三好が語ったように連敗の中でチームを立て直す雰囲気やコミュニケーションが活発にならなかったことも、ルーニー氏が監督としてチームをマネジメントするうえで欠けていた部分なのかもしれない。


トニー・モウブレイ監督 写真:Getty Images

トニー・モウブレイ新監督とは?

新監督に就任したトニー・モウブレイ氏について、現地ではチャンピオンシップで経験豊かな知将と評価されている。現地紙のディケンズ記者は、モウブレイ監督が2006年から2009年に率いていたウェスト・ブロムウィチ・アルビオン(WBA)について「当時もっともワクワクさせるチームだった」と振り返っており、モウブレイ監督のスタイルはバーミンガムにとって最適だと見ている。ポゼッション重視のアタッキング・フットボールを掲げるモウブレイ監督にとって三好は「最適なピース」だとディケンズ記者は太鼓判を押す。

14日に行われた初陣のスウォンジー戦では、選手がバックパスをするとモウブレイ監督が手を大きく振って前線にパスを出すように要求。「コージ!」と三好にパスを出すよう求めるなどビルドアップについて熱く指導する姿が見られた。

バーミンガムは第27節終了時点で勝ち点27の20位に沈み、プレーオフ昇格枠の6位までは勝ち点差11となっている。だが、全46節もの試合数があるチャンピオンシップはまだシーズンの半分を折り返したばかり。ここからチームのスタイルを確立することができれば、望みはまだ残っている。少なくとも三好は、プレーオフ昇格を諦めていない。

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名前:Shun Ide
趣味:サッカーのプレイと観戦、サカナクション、料理研究、犬の芸仕込み
好きなチーム:川崎フロンターレ、コヴェントリー・シティFC

イギリス在住。イングランドのフットボール情報を現地からお届けします。

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