現代版ストライカーと正反対?
最近のストライカーは「偽9番」という言葉が流行ったように、スペースのある広いエリアに流れ、ピッチの中央に留まること以外でもとても器用にプレーする選手が多い。しかしホイルンドは、正反対である。
アタランタでは主に2トップのうちの1人として、前所属のシュトゥルム・グラーツやデンマーク代表では[3-4-3][4-3-3]などの様々なシステムの中でありながら、常に中央エリアでプレーしてきた。中央で走り出すタイミングが上手であるのと同時に、相手の左サイドバックとセンターバックの間のスペースでプレーすることが多く、得意の左足でシュートを打てるように考えている。
さらにホイルンドは、ゴール期待値(XG)の低いシュートをあまり打たない。その代わりに常により良いポジションを取り続けようとするため、多くのゴールが簡単に軽く流し込むだけのように見えることがよくある。これはハーランドにも言えることだ。
一見すると古典的なストライカーのように思えるが、アタランタのジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の指導の下では、弱い右足もより自信を持って使えるようになり、プレッシング能力も向上した。
シュートに関するハーランドとの比較データ
ハーランドはレッドブル・ザルツブルク(2019-2020)、ボルシア・ドルトムント(2020-2022)、シティ(2022-)での時間を通じて90分あたり平均3.8のシュートを打ち、さらにその数は年々増加している。
ホイルンドは、シュツルム・グラーツ(2022)とアタランタ(2022-2023)通算で90分あたり、まだ平均2.4本のシュートに留まる。
シュートの内訳に関しては、ヘディングでのシュートがホイルンドが24%でハーランドは22%と、ホイルンドはやや頭でのシュートを多く行う傾向があることがわかる。
また、ハーランドは右足でのシュートが15%であることに比べ、ホイルンドは約25%と大きく上回っていることもわかっている。細かい例であるが微妙ながらも重要な違いだ。
ホイルンドの弱み
ガスペリーニ監督はホイルンドについて「一番の武器はスピード。100m走は11秒を切る」と話していた。しかしその反面、まだそのスピードでボールを扱う技術は改善が必要で、ファーストタッチの雑さなどは指揮官に改善を求められていると言われている。味方と攻撃を組み立てる場面においても、強さとバランスを最大限に利用して相手ディフェンダーを背負うことができるが、まだ雑な面がある。
また、191cmの長身であり、上述のようにヘディングのシュート率が高くありながら、セリエAでヘディングでの実際の得点はないことも課題だろう。ドイツ『トランスファー・マルクト』のデータによると、キャリアの中でヘディングで決めることができたゴールはわずか3点。ここまでキャリア通算44ゴール挙げていることを考えると少ないように感じる。
また、アタランタでのプレシーズン中に負った背中の怪我も懸念材料の1つ。約6週間の戦線離脱を強いられる可能性が報じられている。いつになるか定かでないユナイテッドでのデビュー戦を待ちつつ、ホイルンドのハーランドに続くプレミアリーグでの活躍を期待したい。
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