Jリーグ 湘南ベルマーレ

迷走中の湘南が横浜FMに完敗。先が思いやられる修正力不足【J1リーグ2023】

FW町野修斗(左)DF上島拓巳(右) 写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグ第19節の全9試合が6月30日から7月2日に行われ、湘南ベルマーレは2日、敵地の日産スタジアムで横浜F・マリノスと対戦。最終スコア1-4で敗れた。

前半の2失点が重くのしかかり、今節もリーグ戦最下位からの脱出を逃した湘南。直近のリーグ戦13試合勝ちなしと、苦境に陥っている同クラブが抱えている問題は何か。ここでは横浜FM戦を振り返るとともに、この点について解説したい。

横浜F・マリノスvs湘南ベルマーレ、先発メンバー

横浜FMvs湘南:試合展開

基本布陣[3-1-4-2]の湘南が、キックオフ直後から横浜FMへのハイプレスを試みる。これに対しホームチームはこの試合最初のゴールキックでロングパスを選択するなど、湘南のハイプレスを掻い潜るための策を探った。

迎えた前半5分、横浜FMが湘南のハイプレスをいなし、自陣右サイドから敵陣左サイドへボールを送る。攻め上がったDF松原健(右サイドバック)がペナルティアークの後方からシュートを放ち、先制ゴールを挙げた。

出鼻をくじかれた湘南は、この直後に自陣後方からのパス回しで自滅。前半10分、GKソン・ボムグンのショートパスが横浜FMのFWヤン・マテウスにカットされると、同選手からFWアンデルソン・ロペスにボールが渡る。ペナルティエリア内でロペスがゴール右隅へシュートを放ち、追加点を挙げた。

その後も湘南は攻め込まれたが、GKソンが好セーブを連発し、勝ち点奪取への望みを繋ぐ。前半11分に湘南の最終ラインの背後を突いたマテウスのシュートを防いだほか、同44分にもFWエウベル、ロペス、マテウスによる3連続シュートを阻止。今季より湘南のゴールマウスを守っている韓国代表GKが、この試合でも気を吐いた。

後半2分、湘南はカウンターからチャンスを迎えたものの、MF中野嘉大(左ウイングバック)のシュートが横浜FMのGK一森純に阻まれたことで、1点差に詰め寄れず。同6分にはマテウスのクロスに反応したロペスにヘディングシュートを放たれ、ビハインドが3点に広がった。

ホルシュタイン・キール(ドイツ2部)への移籍前ラストマッチを迎えたFW町野修斗が後半30分にPKを成功させたが、湘南の反撃もここまで。同32分には途中出場した横浜FMのMF水沼宏太のシュートのこぼれ球を、同じく途中投入のFW植中朝日に押し込まれ、試合の趨勢が決した。

GKソンの奮闘もむなしく、湘南はリーグ戦4連敗を喫している。


湘南は松原への守備の段取りが曖昧だった

前線からの守備は不発に

湘南は横浜FMにハイプレスを仕掛けようとしたものの、ホームチームの巧みな攻撃配置に苦しめられた。

基本布陣[4-2-1-3]の横浜FMの2センターバック、エドゥアルドと上島拓巳(両DF)が自陣後方からのパス回しの際にペナルティエリア横幅いっぱいに広がったことで、湘南の2トップ(FW大橋祐紀と町野)によるハイプレスの直撃を防止。大橋と町野は横浜FMの2ボランチ(渡辺皓太と藤田譲瑠チマの両MF)へのパスコースを塞いでいたが、相手の2センターバックとの距離が長く、彼らに鋭く寄せるには至らなかった。

この状況を受け、湘南のMF平岡大陽が最前線に上がり横浜FMの2センターバックから2ボランチへのパスコースを塞ごうとしたが、今度はDF松原(右サイドバック)を誰が捕捉するのかが曖昧に。左ウイングバックの中野と、インサイドハーフの平岡のどちらかが松原にプレスをかけるべきだったが、この不徹底が試合序盤に災いした。

横浜FMの先制ゴールは、自陣右サイドでボールを捌こうとした松原への、平岡や中野の寄せが緩かったことで生まれたもの。敵陣でのボール奪取やショートカウンターを狙うには、湘南の守備は緻密さに欠けていた。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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