
逆境好きは出戻りをした方がうまくいく?
初めて新しいクラブを担当する時というのは、もちろん精神的に強いプレッシャーと緊張感があるが、一方で「楽しみ」もある状態だと思うのだ。どんな選手たちがいるのだろうか、どんなクラブにしていこうかなどと期待感が高まり、ある意味ポジティブ思考が働く。
しかし、古巣へ出戻りとなると、おそらく多くの監督の思考は楽しむという余裕はなく、自分がどうにかクラブを良くしなければならないと、非常に重いタスクを背負ってスタートする。ゆえに、逆境状態の方が自己を奮い立たせられるタイプの監督であれば、クラブの行く末に期待が高まると言えるのではないか。
この筆者の理論に基づいて言えば、例えばウェストハムのモイーズ監督が現在(2023年4月時点)出戻りで好調な結果を叩き出しているのは、同監督が逆境に強いタイプだということになる。今回のチェルシーのランパード監督も嵐のような環境の方が燃える人物である場合には、クラブの今後に大いに期待ができそうだ。

プレミアリーグという「潔癖」のステージ
プレミアリーグの監督入れ替えの周期スピードには、改めて驚かされるものがある。今回のチェルシーにおけるポッター監督の早期退任を含め、これまでも多くの監督が瞬く間に入れ替わってきた。それらを知るたびに、同リーグは「孤高の存在」ということを際立たせていると感じる。
「結果が出なければアウト」というシステムはとても重要だ。しかし、監督の教えが選手たちに馴染み初め、効果を発揮するまでには時間も必要なはずである。監督という与える側の存在と、受け取る側の選手たちとの相性にもよるが、短期間でスムーズにその効果が発揮されることは稀だと筆者は思う。まだその過程の段階で、結果が出ないから退任となると、宝くじのようにクラブ側が常に数パーセントの「奇跡の相性」を探し求める必要がある。
結果を出すスピードを大切にするのか、それとも長期戦で監督と選手の関係性を育てることを重視するのか、正しい方法は未だ無いのかもしれない。
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