プレミアリーグ ブライトン

三笘所属ブライトンの行方とデ・ゼルビ監督の哲学とは【プレミアリーグ】

ブライトン ロベルト・デ・ゼルビ監督 写真:Getty Images

デ・ゼルビ流の哲学が面白い

では、ロベルト・デ・ゼルビ監督という人物はどんな思考を持ってブライトンを好調に導いているのか?現地の記者会見の内容から、いくつかのことを知ることができる。

1つには、あくまでも自分は支える側で、主人公となるのは選手たちという立ち位置がデ・ゼルビ流の思想だ。例えば、プレミアリーグ2022/23シーズン1月の月間最優秀監督賞にノミネートされたことについて、現地記者から投げかけられた際にはこうコメントした。

「とても誇りに思うことだが、これは自分だけのことではないんだ。なぜなら、私は監督。なので、素晴らしい選手無しでは監督は全然重要じゃないと思っている」

また、選手たちの移籍に関して、例えばブライトンから三笘薫を含めた若い選手たちが別のビッグクラブへと流れていくことについてどう感じているのか、と聞かれると、そこでもデ・ゼルビ流の言葉が飛び出した。

「(移籍を迷う選手たちに対して)私は監督だけど監督っぽくではなく、そして彼らの父親のような感じで物を言いたくない。なぜかというと、私は自分の利益だけを考えるエゴイストじゃないから。なので、彼らのビッグクラブへと行きたいという気持ちはとても良くわかるし、理解できるんだ」

監督の役割はもちろん果たさなくてはならないが、それ以上に選手たちと同じ目線で対等に向かい合い、クラブの利益というよりも選手たちの為の道標を示してあげたいという気持ちが伝わる。

出身地イタリアのセリエAでいくつかのクラブ監督を務め、2021年5月にはウクライナのシャフタール・ドネツクの監督に招聘されチームを首位に導くも、ロシアのウクライナ侵攻によってリーグ戦が中断。初のプレミアリーグ挑戦となるデ・ゼルビ監督。43歳とまだまだ年齢的にも若く、今後ブライトンでの成功を掴んだ後にも、どのクラブを導いていくのかに注目が集まるだろう。


ブライトン MF三笘薫 写真:Getty Images

あと少しのトップ5入りは高嶺の花?

昨2021/22シーズンのプレミアリーグで初のトップ10入りを果たしたブライトンだが、今2022/23シーズンは31ポイント6位の位置に到達し絶好調。しかしながら、先行く5位のトッテナム・ホットスパーは36ポイント、背後につける7位のフラムが31ポイントと同点の状況だ。トップ5の領域に入り込むには差があり、高得点で勝ち続け、ポイントを獲得していかなければならない。

ブライトンは、2月5日に現18位のボーンマス戦、2月12日の現12位のクリスタル・パレス戦とプレミアリーグでの試合が続く。絶好調の流れのままトッテナムを越えることができるのかが見どころだ。また、リバプール相手にプレミアリーグに続いての2戦連続勝利で勝ち進んだFAカップ。5回戦となる3月2日のストーク・シティ(EFLチャンピオンシップ所属)との試合にも期待がかかる。

今シーズンのブライトンには、何かが起こりそうだ!

ページ 2 / 2

名前:Molly Chiba
趣味:自然散策、英国のあれやこれやをひたすら考えること
好きなチーム:トッテナム・ホットスパーFC

東北地方の田園に囲まれ育ちました。英国のフットボール文化や歴史、そして羊飼いやウールなどのファッション産業などに取り憑き、没入している日本人女性です。仕事のモットーは、伝統文化を次世代に繋ぐこと。

筆者記事一覧