代表チーム ワールドカップ

ポルトガルをも封じたモロッコの堅守。歴史的勝利に繋がった布陣変更【W杯試合分析】

ポルトガル代表の隊形変化の一例

成功したレグラギ監督の賭け

後半6分に、ポルトガル代表のフェルナンド・サントス監督がクリスティアーノ・ロナウドを投入。モロッコ代表はポルトガル代表の徹底したサイド攻撃や、ロナウドを目掛けたクロスに苦しめられたが、ワリド・レグラギ監督の巧みな采配により息を吹き返した。

同監督は後半20分にDFバドル・べヌンとFWワリド・シェディラを投入し、布陣を[5-4-1]に変更。4バックでは空きやすいハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)と、センターバックとサイドのDFの間を埋め、ポルトガル代表のサイド攻撃の威力を半減させた。

後半20分の両軍の布陣

ロナウドが侵入を試みたゴール前のスペースも、アクラフ・ダリ、べヌン、エルヤミクの3センターバックが懸命に埋めたことで、モロッコ代表は逃げ切りに成功。守備の要サイスが後半12分に負傷交代というアクシデントに見舞われながらも、指揮官の素早いテコ入れにも助けられ、この難局を乗り越えている。今大会5試合で僅か1失点。クロアチア、ベルギー、スペイン相手にも無失点と、堅固な守備を誇るアトラスのライオン(モロッコ代表の愛称)がW杯制覇を成し遂げる。そんな奇跡をも予感させる一戦だった。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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