同代表のマンツーマン守備が威力を発揮し始めたのが、前半9分の攻撃シーン。ここでもクラーセンがアダムス、F・デ・ヨングがムサ、デ・ローンがマッケニーをそれぞれ捕まえており、自陣でボールを保持したリームのパスコースを限定している。デパイがサイドへのパスコースを塞ぎきれていなかったが、リームからデストへのパスをブリントが察知し、ボールを奪ったことで、オランダ代表のロングカウンターが発動された。
この速攻で勢いづいたオランダ代表はセカンドボールを回収し、GKノペルトから再度攻撃を組み立てる。フィルジル・ファン・ダイクとF・デ・ヨングを中心に自陣でパスを回し、アメリカ代表の3トップや2インサイドハーフを釣り出すと、中盤の底アダムスの脇のスペースにデパイが降り、ブリントからのショートパスを受ける。センターサークル付近でデパイがボールを捌いたことでオランダ代表のサイド攻撃が始まり、これが先制点に繋がった。
失点直後もアメリカ代表は自陣後方からのパスワークでオランダ代表の守備を崩そうとしたものの、先述の通りアダムスを含む3セントラルMFがオランダ代表のMF陣による密着マークに遭い、ジマーマンとリームの2センターバックがパスの出しどころに困る場面がしばしば。攻撃のリズムを掴めないうちに喫した前半終了間際の2失点目が、重くのしかかる展開となった。
F・デ・ヨング、デ・ローン、クラーセン、トゥーン・コープマイネルスなど、足下の技術と球際での強さを併せ持つMFが揃っているオランダ代表。彼らが攻撃面のみならず、相手のビルドアップのキーマンを抑え込むマンツーマン守備も精力的にこなせるのが、今の同代表の強みだ。今大会で異彩を放っているマンツーマン守備集団が、準々決勝でリオネル・メッシ擁するアルゼンチン代表とどれほど渡り合えるかに注目したい。
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