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FC岐阜・石津大介独占インタビュー「ギラギラした自分を取り戻したい」

FC岐阜 FW石津大介 ©️Kaz Photography/FC GIFU

家族の支えあり、岐阜でJ通算300試合出場

ー昨2021シーズンをもってその福岡を退団し、今2022シーズン、キャンプ中のタイミングでFC岐阜への加入を発表されました。

石津:チームを探していましたが、去年J1の福岡で前半戦を中心に半分ぐらいの試合に出ていたので、正直どこかあるだろうというものすごく安易な気持ちだったんですよ。でも全然決まらなくて、こんなに需要がないのかという現実を突き付けられて、だいぶショックでした。それで1回だけ家族に『もうこのままやめようかな』とボソッと嘆いたことがあったのですが、妻が『人に夢を与えられる職業って本当に特別だから、それを簡単に手放すのはもったいないと思う』みたいに言ってくれたんです。その一言がなかったら、もしかしたら(気持ちが)折れていたかもしれません。公園でボールを蹴るときも、1人ではなく一緒に付いてきてくれましたね。

そんなときにFC岐阜から電話があり『キャンプに参加できるか』ということだったので『はい、ぜひお願いします』と。それまで自分のなかでは結構身体を動かしていたつもりだったんですけど、家族で公園に行き走ったりボールを蹴ったりもしていたので。でもいざ練習に入ったり試合に出たりするとこれだけ違うんだなと痛感しました。特に強度の部分で強く思いました。同時に怪我して以降と同じく、サッカーができる喜びも感じていましたね。

ー岐阜に加入され、今2022シーズンはJ3第31節終了時点で20試合出場2得点です。現時点でシーズンを振り返って、どのような印象ですか?

石津:途中から加入させてもらったのに全然点が取れていなくて、チームに貢献できていないですし、自分自身が不甲斐なさすぎます。とにかく不甲斐ないですね。

FC岐阜 FW石津大介 ©️FC GIFU

ーそんななかでもJリーグ通算300試合出場を達成。第30節のアスルクラロ沼津戦では記念セレモニーが行われ、ご家族から花束が贈呈されました。

石津:福岡で200試合出場のときにもお祝いしてもらったのですが、そのときのことを子どもが覚えていて。『また花束渡したいからパパ頑張って』と言われていました。頑張ることは当たり前ですけど、子どもに言われたこともあって『余計に頑張ろう』『試合にたくさん出たい』という気持ちがありました。怪我もあり、岐阜に拾ってもらって、といろいろなことが起きたなかでの300試合だったので、選手としていられることに大きな幸せを感じています。

ー今シーズン、印象に残っているのはどの試合ですか?

石津:今季は2点しか取っていないので、その2点を取った試合(J3第7節カマタマーレ讃岐戦、第9節SC相模原戦)か、あとはホームの鹿児島ユナイテッド戦(第12節)です。自分たちも比較的良い位置にいて、鹿児島は当時首位だったのですが、その状況で(2-1で)勝ったときはスタジアムの雰囲気も含めてすごく一体感を感じました。

FC岐阜 FW石津大介 ©️Kaz Photography/FC GIFU

ーところで両手を大きく広げるゴールパフォーマンスが印象的なのですが、どのような意味があるのでしょうか。

石津:意味はまったくないんですよ(笑)やることがないので手を挙げているだけなので。岐阜に来てからはまだ出していないので、今度からそれに戻します。

ー右足のシュートはコースを突いたものが多く、左足は豪快なものが多い印象なのですが、意識している部分はあるのでしょうか。

石津:(利き足の)右足の方が左と比べて球種が多いので(コースを)狙うとなったら右足かなという感じです。その日の感覚にもよるんですけど、綺麗な球筋がいくのは左かもしれないです。左で巻いたりするのも練習してはいるんですけど、右に比べたら精度が落ちちゃいますね。左は中学生ぐらいの頃かな、親父に左でも蹴れたらたくさんゴールが取れるんじゃないかと言われて、そこからめちゃくちゃ練習しました。でも最初の頃は全然蹴れなくて、蹴り方もわからなかったので形から入らないとと思い、今年で引退すると発表された中村俊輔選手の蹴り方を真似していました。あのフォームで左利きって、かっこいいじゃないですか。だから真似から入りましたね。

FC岐阜 MF柏木陽介 写真:Getty Images

岐阜で学ぶこと、岐阜に必要なことは

ー岐阜には柏木陽介選手や田中順也選手、宇賀神友弥選手など元日本代表選手が多く所属しています。彼らから学ぶことはありますか。

石津:陽介さん(柏木陽介)や宇賀さん(宇賀神友弥)とは、プライベートでもすごく仲良くしてもらっていて、たくさん話す機会があります。サッカーの技術についてはもちろん大前提なんですが、サッカー以外でも物の考え方というのは学ばせてもらっています。自分はまだ浮き沈みが激しかったり左右されるので、メンタルのブレない軸の部分、物事に対しての考え方というのはすごく勉強になっています。サッカーの部分では、練習でも(彼らから)ボールが取れません。ボールの置き所や、味方を使って相手を剥がすことだったりが上手く、どのタイミングで周りを見ているのかなと思う場面があります。そのような選手とチームメイトというのは、ものすごく嬉しいですね。

ー今シーズン岐阜は失点が多いために、白星が積み重ねられない部分があると思います。残り試合や来シーズン以降白星を増やしていくためには、何が必要でしょうか。

石津:全部が全部じゃないですけど、ピンチになったらそのまま勢いで失点してしまうという傾向があるので、もっと身体の張り方やタイミング、埋めないといけないポジションなど、細かいことをやっていけば自ずと失点は減ると思います。攻撃では、良い崩しの形があまり出ていないので、相手をしっかり崩して点を取りたいですね。FWやSHなどの連携で崩して点を取れれば、もっとバリエーションが増えるので。失点が減って得点力も上がれば、自ずと結果が出て順位も上がってくると思います。

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名前椎葉 洋平
趣味:サッカー観戦、読書、音楽鑑賞
好きなチーム:アビスパ福岡、Jリーグ全般、日本のサッカークラブ全般

福岡の地から日本サッカー界を少しでも盛り上げられるよう、真摯に精一杯頑張ります。

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