明治安田生命J2リーグは2022シーズンの日程を終了し、順位が確定した。2021シーズンの異例なレギュレーションにより、J1リーグから4チームが降格となっていたこともあってか、終盤まで熾烈な順位争いとなった。
その中、2017年以来の久々のJ1昇格を果たしたアルビレックス新潟(1位)と、昨2021年はJ1最下位の屈辱を味わった横浜FC(2位)はやや抜けた存在だったと言えるだろう。一方で、昨年はJ2で3位となり今シーズンは天皇杯のタイトルも獲得したヴァンフォーレ甲府が18位で終わるなど波乱もあった。
しかし、まだまだJ2の戦いは終わっていない。なぜなら昇格への最後のチャンスであるJ1参入プレーオフが残っているからだ。最終順位が3位のファジアーノ岡山、4位のロアッソ熊本、5位の大分トリニータ、6位のモンテディオ山形がプレーオフを戦う。ここでは、J1昇格のチャンスを得るべく戦う4チームそれぞれのキーマンを紹介していく。
ヨルディ・バイス(ファジアーノ岡山)
長くJ2の中でも中位が定位置となっていたファジアーノ岡山。今季はJリーグでの実績も豊富なFWチアゴ・アウベス、長く清水エスパルスの中核を担ったMF河井陽介を獲得。チームを去った選手も多かったが、即戦力の補強に成功していた。
中でも、新加入選手でありながら攻守にわたって活躍を見せたのがDFヨルディ・バイスだ。Jリーグでは岡山で4クラブ目となるバイス。過去にはオランダの世代別代表としての経験もあり、その屈強なフィジカルはJでも屈指の存在と言えるだろう。今季はほぼすべての試合に出場しながらその全てがスタメンフル出場と、シーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮していた。
バイスの守備面での貢献度は言うまでもないが、特筆すべきはその攻撃能力の高さだ。今季は7ゴールと徳島ヴォルティス時代(2019)に並び自己最高を記録。もともとシュートの精度や威力には定評があったが、FKでの鮮やかなゴールなどで改めて自身の能力の高さを証明して見せた。
来るプレーオフ初戦のモンテディオ山形戦(10月30日)。2試合連続で3ゴールと高火力を誇る相手なだけに、守備の時間が増えることも想定されるが、バイスの攻撃能力にもやはり期待がかかる。
髙橋利樹(ロアッソ熊本)
昨2021シーズンJ3リーグを制し、4シーズンぶりにJ2に帰ってきたロアッソ熊本。昇格初年度である2022シーズンだが、早速J1も視界にとらえている。今季は主力の多くが残留し、戦力をある程度計算できる体制でスタートできた。加えて新加入の大卒ルーキーたちが短い時間ながら数多く試合に絡み、それぞれが活躍できる場面を得られたことも、クラブにとって好材料と言えるだろう。
そんな中、攻撃面でチームを牽引し続けたのがFW髙橋利樹だ。加入3年目となる今季。過去2年は惜しくも届かなかった2桁ゴール(14)を遂に達成。得点ランキングでも3位タイとなるなど飛躍の年となっている。身長182センチとずば抜けた高さがあるわけではないが、クロスへの入り方の上手さが光るシーンは数多くある。
最終盤の2試合は上位勢との直接対決で連敗を喫し(ベガルタ仙台戦1-2、横浜FC戦3-4)、流れがあまり良くない熊本。しかし、この状況の中だからこそ頼れる背番号「9」という存在をゴールという結果で示せるか、髙橋の真価が問われるプレーオフとなるだろう。
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