明暗が分かれたシーズン中盤戦
6月の中断期間を経て、清水と磐田両チームの状況は大きく変化した。
清水は新監督として招聘したゼ・リカルド監督のもと、初陣のアビスパ福岡戦(6月18日)で勝利。序盤戦の苦戦の影響もあり一時は最下位に転落するが、ホームで行われたサガン鳥栖戦(7月31日)を皮切りに5戦負けなし。8月は3勝1分の好成績で先への光が見えた夏となった。
磐田は、6月こそ負けなしで進むも7月は1勝4敗、8月も3敗と大きく負け越し、第21節以降は降格圏が定位置となってしまう。特に浦和レッズ戦(8月13日)ではホームで6失点を喫し、クラブは開幕から苦しいチームを鼓舞し続けた伊藤彰監督の交代を決断することとなった。
自動降格圏に沈むシーズン終盤戦
8月の好調から一気に上昇気流に乗るかに見えた清水。しかし、9月は悪夢の4試合となった。サンフレッチェ広島戦(9月3日)で相手が一人少なくなった状況からの2失点で敗戦すると、続く湘南戦(9月10日)は終了間際に同点弾を浴びドロー。続く福岡戦(9月17日)と川崎フロンターレ戦(10月8日)はいずれも打ち合いに敗れ、夏の貯金を一気に使い果たし17位の自動降格圏まで順位を落とした。清水にとっては勝ち点の積み上げができなかったことももちろんだが、一時改善が見られた守備面において、9月は4試合9失点と後退してしまったことが悔やまれる。
一方の磐田は、この終盤にきて最下位(18位)が定位置となっていた。しかし、柏戦(9月3日)セレッソ大阪戦(9月17日)鹿島戦(10月8日)と9月以降の上位陣との対戦で勝ち点を拾い、J1残留へ望みをつないでいた。さらに直近の首位横浜F・マリノス戦(10月12日)では、カウンターから奪った虎の子の1点を守り切り勝利。上に位置する残留争いのライバルたちを射程にとらえた。
迎える残り3試合の展望は
清水と磐田の両チーム共に不本意な形で迎えた最終盤。残り3試合と負けが許されない状況の中、次戦(10月22日)に静岡ダービー(清水VS磐田)を迎えることは、運命めいたものを感じる。
残留争いをする他チームとの勝ち点差も少なく、両者の消化試合数も少ないことから、このダービーでの勝利は残留への大きな一歩となるだろう。数々の名勝負を繰り広げてきた王国静岡の名門、清水エスパルスとジュビロ磐田。この両チームが裏天王山で激突することは残念だが、いつも以上に絶対に負けられない白熱した試合を期待せずにはいられない。
その後の清水は、一時は首位にも立っていた鹿島(10月29日)と、残留争いのボーダーラインにいる札幌(11月5日)相手の2試合を残している。試合へのモチベーションという意味では清水の方が高いことも予想される。
一方の磐田は、ダービーを含めて全てが残留争いの直接対決となる(10月29日対G大阪、11月5日対京都)。直近3試合を無敗で来ているが、負けが許されない同士の試合となるだけに難しい試合展開が予想される。勝利が残留に直結する3試合になることも事実だ。
果たして清水、磐田の両クラブは、王国静岡の誇りを守りトップカテゴリーへの残留を勝ち取ることができるのか。残された試合は3つしかない。
コメントランキング