山岸祐也のキャリア
鹿島やドイツでキャリアを築いた大迫と対照的に、山岸は少しずつキャリアを積み重ねてきた。尚志高校(福島県)時代には、第90回全国高校サッカー選手権大会で5得点を挙げ、大会の優秀選手に。卒業後は流通経済大学に進学し、総理大臣杯やインカレ優勝を経験している。
2016年からザスパクサツ群馬に入団すると毎年安定した成績を残しながら、FC岐阜(2018-2019)モンテディオ山形(2019-2020)アビスパ福岡(2020-)と移籍し、昨2021シーズンついにJ1へとたどり着いた。
遅咲きではあるものの、昨シーズンは5得点、そして今シーズンはここまで9得点。夏にはガンバ大阪からのオファーが報道されるなど、J1でも注目を集めるまでになった。吸い付くような胸トラップを筆頭に、柔軟性あふれるキープ力、今2022年のJ1最速を記録するスピード、前線からの守備など、魅力は得点力だけではない。
直接対決(福岡VS神戸)の行方は?
前述したように9月17、18日に行われたJ1第30節に勝利し、自信を取り戻した大迫が所属する神戸と、山岸が所属する福岡。ただ自動降格となる17位とは勝ち点差2と、まったく安心できる状況ではなく、次戦(10月1日J1第31節)での直接対決の結果が来シーズンのカテゴリーへと直結する可能性もある。
熱戦となることは間違いない。大迫と山岸のエース対決に期待すると同時に、両チームの守備陣が彼らを抑えられるかにも要注目だ。
ホームとなる福岡は、ボランチの主軸の1人である中村駿が前節から復帰し、本来の中盤の安定感が戻ってきた。また9月25日に行われたサンフレッチェ広島とのルヴァン杯準決勝第2戦(0-0)では、公式戦10試合ぶりの無失点。2戦合計2-3で結果的に敗退となったものの、登録人数さえそろわなかった時期を考えると、コンディションは大きく上がってきた。
アウェイとなる神戸は、怪我人の状況が気がかり。9月25日に練習を公開したが、右サイドで攻守に活躍をみせる飯野七聖が右足を痛めてしまい、前節負傷交代したマテウス・トゥーレルは別メニュー調整が続く。それでも窮地で身体を張りプレーで引っ張る山口蛍や酒井高徳、第29節の名古屋グランパス戦で復帰するとそこからの3試合で2勝1分と負けなしが続く菊池流帆など、十分に役者は揃っている。
両者ともに前節逆転勝利をおさめたとはいえ、本来「6ポイントゲーム(相手の3ポイントを奪い、3ポイントを獲得することで6ポイントの影響を与える直接対決)」で早い時間帯の失点は避けたいところ。後ろの選手がどれだけ踏ん張れるかは、試合の行方を大きく左右する。
勝ち点3を積めたどちらかのチームは残留争いから1歩抜け出せるだけに、10月1日のベスト電器スタジアムは通常の試合以上に熱気で包まれることだろう。
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