プレミアリーグ アーセナル

苦境に立たされるアーセナルが今見つめ直すべき3つの問い

ミケル・アルテタ監督 写真提供:Gettyimages

今のヤングスター構想は本当に正しいのか?

2019年12月のミケル・アルテタ監督の就任によりアーセナルに出現した唯一の特徴は「若手中心のメンバー構成」である。再建をするクラブがよく打ち出す戦略であり、経験値の少ない選手たちに裁量権を与えることで選手個人だけでなくチーム全体のレベルアップを促す効果があると考える。

実際にプレミアリーグでもそうした取り組みを図った強豪クラブは少なくない。フランク・ランパード監督時代のチェルシー、マウリシオ・ポチェッティーノ監督時代のトッテナム・ホットスパーなどが例に挙げられ、若さゆえのエネルギッシュさは時にとてつもない力を生み出すことはこれまでの歴史が語っている。アーセナルもそのようなサイクルで成長を図ったのだろうが、その効果は断片的でありチェルシーやトッテナムのように順調ではない。

明確な違いは、調整役になれる選手が存在するかどうかだと考える。チェルシーのセサル・アスピリクエタや、トッテナムのハリー・ケイン、振る舞いを見ても分かるようにどちらもピッチ上でチームを整えることができる選手たちだ。もしアーセナルが本当にヤングスター集団で強豪揃いのプレミアリーグを戦うのであれば、それを下支えする存在をブランディングしなければならないだろう。


グラニト・ジャカ(左)ピエール=エメリク・オーバメヤン(中)ローラン・コシールニー(右)写真提供:Gettyimages

今、アーセナルのリーダーは誰なのか?

かつてのアーセナルに所属したOBは「昔はもっと闘っていた」と嘆いている。毎試合のようにロッカールームでは怒号が飛び交い、圧倒的な規律で試合を制したというのが常勝軍団のアーセナルであった。過去の栄光に指をくわえるわけにもいかないが、今のアーセナルには当時のような規律や一体感がないと考える。自らを強く律しピッチ上でチームを先導するリーダーとなれる選手をアーセナルは見つけなければならない。真っ暗な暗闇から正しい方向へと明かりを照らし、時には喝を入れる、そんな求心力を備えた人物を私たちは望んでいる。

思えば長らくアーセナルにはそうした選手が存在しない。グラニト・ジャカは、ファンからのブーイングに対して不満を露わにしサポーターと揉めて賛否が未だに残っている。ジョアン・カンセロ(マンチェスター・シティ)への軽率なタックルで一発退場になったことも印象が悪い。

またピエール・エメリク・オーバメヤンは、チームが苦しいときにピッチ上で鼓舞するような振る舞いができるとは思えない。自らのゴール数にしか興味がないようだ。アーセン・ベンゲル監督時代からキャプテンとしてディフェンスラインを支えたローラン・コシールニーも、2019年夏のプレシーズンツアーの帯同を拒否しフランスへ逃亡した。結局そのままボルドーへと移籍してしまった。

そもそも英語を上手く話せないことをいいことにウナイ・エメリ前監督(2018-2019)の陰口をたたいていたような集団では強くもなれない。クラブ全体的に言えることだが、目標と現状とのギャップを冷静に分析し行動に移せる「謙虚さ」が必要なのかもしれない。

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名前:秕タクオ

国籍:日本
趣味:サッカー、UNO、100均巡り

サッカー観戦が日課のしがないサラリーマンです。かれこれ人生の半分以上はサッカー観戦に明け暮れ、週末にはキルケニー片手にプレミアリーグやJリーグにかじりついています。

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