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ウィリアン・ジョゼ、プレミア初挑戦への想い。昨年トッテナム入団間近だった?

ウィリアン・ジョゼ 写真提供:Gettyimages

なぜウルブズに加入したのか?

ウィリアン・ジョゼは外国人労働許可証を取得してすぐ1時間後に始まったチェルシー戦(1月28日)でプレミアリーグデビューを飾った。「十分にチームトレーニングできなかったよ」と当時を振り返る。そしてデビューしてから3試合目となるアーセナル戦(2月3日)で物議を醸すPKを獲得してダビド・ルイスを一発退場に追い込んだ後、9試合ぶりの勝利をウルブズにもたらした。ダビド・ルイスの退場については今後多くの議論が行われるだろうと予想されるが、この試合でのウィリアン・ジョゼのインパクトは、なぜウルブズが彼を獲得したのかが理解できるものだった。

ヌーノ・エスピーリト・サント監督は頭蓋骨骨折をして戦線離脱しているラウール・ヒメネス不在で得点に結びつけることに苦悩の日々だったが、ここ数試合の攻撃面での改善はウィリアン・ジョゼの加入と少なからずリンクしている。次はプレミアリーグでの初ゴールが期待されるウィリアン・ジョゼだが、ストライカーのポジションとして、自身の経験値とフィジカルを最大限還元し、前線でボールキープしながら味方へボールを預けるプレーでチームに貢献した。「今のところ彼は今自分にできることに努め、我々はそれを活用することができた」とヌーノ監督はウィリアン・ジョゼを評価した。

ウィリアン・ジョゼは新しい環境でポジティブな印象を与えている。それは、ウルブズのプレーヤーの大多数がポルトガル語を話せることが大きい。

「デビュー戦となったチェルシー戦はプレーするのにかなり困惑した。その日にみんなに会ったんだから。でも監督は私にどのようにプレーして欲しいか正確に伝えてくれたり、ドレッシングルームで多くの選手たちとコミュニケーションが取れたりして、その問題は解消されたよ。いつもチームメイトと話すようにしている。これは本当に重要だと思っていて、彼らがどのようにプレーを好むのかやどのようにボールを動かすのか、私にどんな動き出しからパスを要求して欲しいのかをもっと理解する必要があるからコミュニケーションを取っているんだ。ここでのフットボールはこれまでとは違う。ラ・リーガは数多くのパスとポゼッションで技術的志向だが、プレミアリーグは試合展開がよりスピーディーだ。さらにフィジカル面もより屈強だ」


ウィリアン・ジョゼ 写真提供:Gettyimages

周囲を正しい方向へ導ける人間性にも期待

ヌーノ監督はウィリアン・ジョゼの立ち振る舞いに称賛した。「彼は素晴らしい人物だ。チームメイトだけでなく、私たちのようなスタッフの声にもしっかり耳を傾けている」勝利を収めたアーセナル戦の試合後のインタビューでこう語った。また、ウィリアン・ジョゼがウルブズの若手選手へも手を差し伸べることにも期待をしている。難しいシーズンを過ごしているファビオ・シルバへは同じポジションということもあり、18歳でイングランドへ拠点を移した彼へのフォローは手厚くする必要があるからだ。

「レアル・ソシエダではアカデミー出身選手たちと重要な役割を果たした。若い選手たちがトップチームで先輩選手たちに信頼してもらえることはクラブを強くするために重要な局面だと思ったので、私は常に若い選手たちとコミュニケーションを取り自信をつけてもらえるように働きかけた。信頼を勝ち取れば物事は上手くいく。ただ若い選手たちがすぐに成長して何でも上手くいくというわけではないので、我々も我慢強くならないといけない。十分な時間を与えて彼らを信じる。ここでもこのように私は若い選手たちに振る舞うつもりだよ」

こうした想いはウィリアン・ジョゼ自身のこれまでのキャリアが大きく影響している。レアル・ソシエダで4シーズン連続で10ゴール以上記録するなど、長く定住できたクラブで恩恵を受けることとなったウィリアン・ジョゼだが、期限付き移籍を重ねた頃は同様の恩恵を受けることは一切なかった。

「期限付き移籍を続けた時期は本当に苦しかった。移籍を多くしたからと言ってすべてが成長につながるとは限らないからだ。チームメイトやスタッフから信頼や自信を勝ち取るために1つのクラブで時間を与えることが重要だ。たった数ヶ月で信頼を得るなんて簡単じゃない。私のようにこのシーズンはこのクラブ、次のシーズンはあのクラブというようにコロコロとプレー先を変えるのは得策ではない。長く留まることは選手自身にとってもクラブにとっても重要なことだと思う。私がこれまで思うようにプレーできたのがレアル・ソシエダにいたときだけだったように」


最後にウィリアン・ジョゼはウルブズでプレーできるのは今のところ数ヶ月であることは理解しているが、ここからチャンスを掴み、完全移籍のオプションを行使できるように今シーズンが終わるまでにプレーで実力を証明することを決意した。

「チャンスは十分にあると思う。ただそれは自分次第だ。上手くいけば今よりももっと長くウルブズの選手で居続けるだろう。もちろんそれは簡単なことではない。でも最大限クラブを助けて、これからの4ヶ月間がクラブにもチームメイトにもそして自分にも良いものになることを願っているよ」

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名前:秕タクオ

国籍:日本
趣味:サッカー、UNO、100均巡り

サッカー観戦が日課のしがないサラリーマンです。かれこれ人生の半分以上はサッカー観戦に明け暮れ、週末にはキルケニー片手にプレミアリーグやJリーグにかじりついています。

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