現代に合わせたチーム作りのビジョン
今や、すでにサッカー界から認められたトップスターを獲得したいチームは、とんでもない金額を支払う必要がある時代となった。そして、そういった巨額の支払いを覚悟できるクラブは極めて少ない。
例えば、ユベントスは2018年夏に移籍金1億1700万ユーロ(約153億円)でレアルからクリスティアーノ・ロナウドを獲得した。また、レアルはその1年後にほぼ同じ金額(1億2000万ユーロ・約145億円)で、チェルシーのエデン・アザールをスペインに呼んだ。
この獲得金額は、昔では考えられない数字です(ちなみに2010年までのサッカー史上最高額は8000万ポンド・約118億円で、2009年にロナウドがマンチェスター・ユナイテッドからレアルに移籍したときの金額)。
さらに、その上を行くクラブも存在する。パリ・サンジェルマン(PSG)は、ネイマール(2億2200万ユーロ・約291億円)とキリアン・ムバッペ(1億8000万ユーロ・約235億6000万円)の獲得に、2017年の夏だけで526億6000万円も使った。
現代のサッカー界の経済的な状況においては、トップスターの獲得より才能のある若手を育てることに勝負をかける方が賢明かもしれません。バルセロナのように巨大なアカデミーを展開して育成に力を入れるクラブもある。そう考えると、バルサほどのアカデミーを持っていないレアルの、ヘイニエル、ヴィニシウス、ロドリゴの獲得(合わせて153億円)は納得がいく。
リスクも大きいが、レアルは百も承知
若手にかけることには大きなリスクもある。この数年のレアルが割とコストをかけて獲得するも、化けなかった選手は少なくない。
例えば、レアルBに所属していたパラグアイ代表FWセルヒオ・ディアス(現在21歳)は、マンチェスター・シティのスターであるセルヒオ・アグエロにプレーが似ているとして期待されていたが、未だに良い活躍を見せられていない。現在はパラグアイのセロ・ポルテーニョにレンタル移籍中だ。
同じくレアルBでプレーしていたオランダ人のMFミンク・ピーターズは、アヤックスのユース所属時にはマタイス・デ・リフト(現在ユーベ所属)より目立つと言われていたが、現在はあまり知られていないセルビアのプロクラブ、チュカリチュキでプレーすることになった。
しかし、こんなリスクもあることは、レアルは百も承知だろう。それでも若手にかけようとしていて、それが正しい道だと信じているのだ…。これからのレアルがどんなチームになっていくのかは非常に興味深いことです。
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