
この数年、ズラタン・イブラヒモビッチがセリエAに復活するという情報が流れる度に、イタリア人サポーター達は夢を見る。イブラが好きでたまらない人もいれば、大嫌いだという人もいますが、かつて彼がアモーレ(愛)の国にたくさんの思い出を残したことには違いありません。
そしてこの数週間、ずっと幻であったイブラのセリエA復活は確実に近づいている。イブラの代理人であるミノ・ライオラはセリエA以外にもたくさんの選択肢があると言い続けているが、本人はイタリアの月刊雑誌『GQ』でもはっきり明言した。「アイ・カム・バック」とね!
サポーターは、セリエAのどのチームに移籍するかが知りたくてワクワクしている。しかし、アメリカのリーグでプレーしてきたイブラヒモビッチは、本当にセリエAで再び活躍できるのだろうか?

現在のイブラのコンディション
まず、2018年3月からイブラが活躍してきたアメリカのメジャーリーグサッカー(MLS)でのデータを振り返ってみましょう。イブラは所属のロサンゼルス・ギャラクシーで56試合に出場して、52得点を決めた。とんでもない実績です。
また、アメリカでの冒険の間には、4試合しか休んでない。ということは、アメリカに行く前のマンチェスター・ユナイテッド時代にヨーロッパリーグ準々決勝アンデルレヒト戦(2017年4月)で負った膝の大怪我は、もう大丈夫ということです。イブラはその怪我に6ヶ月以上も苦しんで復活が難しいということも言われていた。サッカー界は彼が不死身だということを忘れていた…。
しかし、MLSのレベルはセリエAのレベルと比べると、低いと言われている。また、アメリカのリーグはイタリアより、かなり短い。2019年MLSシーズンは3月2日に開始して10月6日に終わりを迎えた。

さらに、11月にLAギャラクシーを退団することを発表したイブラヒモビッチは、現在個人でしか練習していないだろう。もう一度高いレベルのリーグに慣れるのは、少し時間がかかるかもしれません。
イブラの年齢のことを心配している人達もいるが、私はその面では心配がないです。確かにすでに38歳であることは忘れてはいけない。しかし、彼はスピードで勝負する選手ではない。スタミナがそんなになくても問題はない気がする。
また、サッカー界全体的でも選手生命が長くなっていることは、そろそろ認めなければならないだろう。36歳で初めてのセリエA挑戦となるフィオレンティーナに移籍したフランク・リベリーは、イブラより動くタイプなのに何のトラブルもなく大活躍している。数年前までは考えられなかった光景です。

ミランでの復活の可能性
イブラヒモビッチの移籍先として、最も大きく報じられて契約交渉が進んでいるのは古巣のミランです。イブラはある雑誌の取材でこう語った。
「私は、現在は結果がついていないが再びトップに立つべきチームに移籍する」
こんな言い方をされると、頭にすぐ浮かぶのはミランのことです。ミランは2012年にイブラがチームを離れてから闇に沈んだ。再びこのチームに怒りをもたらすというのは夢のある話です。
現在ミランの得点力は明らかに落ちている。前シーズンゴールを積み重ねていたクリシュトフ・ピアテクのパフォーマンスは一気に落ちた。そして、現在のトップストライカーは左サイドバックのテオ・エルナンデス。イブラが来ることがミランの得点力に繋がることは間違いない。
しかし、ピアテクやラファエル・レオンにミランがかけた予算が割と大きく、それがクラブにとってイブラ獲得に対する契約交渉のネックになっている。最近のニュースでも配信されているが、ミランがオファーする金額とイブラが求めている金額は異なる。契約内容の話し合いはしばらく続きそうだ。

友情のためにボローニャへ行く可能性
イブラヒモビッチの2つ目の選択肢は、冨安健洋が所属しているボローニャです。これは一番面白くてロマンのある展開となる。イブラとボローニャの監督であるシニシャ・ミハイロヴィチは長い付き合いのある友人です。イブラがこのチームに移籍する理由はそれしかないことは、ミハイロヴィッチ自身もわかっている。
しかし、残念ながら先日ボローニャの会長であるサバティーニ氏はイブラがボローニャのオファーを断ったと発表した。
ボローニャは今シーズン勇ましいスタートの後に躓いてしまった。イブラがこのチームに来るだけで、すぐにもスタメンになれただろう…。ストライカーのロドリゴ・パラシオは彼とそんなに歳が変わらない。そしてフェデリコ・サンタンデールとマッティア・デストロは、イブラの足元にも及ばないのが現実。イブラがボローニャに加わったことでヨーロッパリーグにたどり着く夢は現実になれたかもしれないが…。断ったなら仕方がない。

ナポリで新マラドーナを目指す可能性
最初は噂にしか過ぎなかったのが、ナポリに移籍する話です。この可能性は少し高まっている。ナポリの会長であるデ・ラウレンティスとイブラの代理人ライオラの関係は今まであまり良くなかったが、コスタス・マノラス、そしてイルビング・ロサノの取引でお互いに信頼を取り戻してきた。そして、イブラはガゼッタの昔のインタビューで「(ナポリで)マラドーナと同じぐらい活躍できれば…」という話をしている。
今のナポリの環境、そして揃っている選手を考えると、イブラにとってはあまり良い選択じゃない気がしますが、彼の勝利へのこだわりはナポリの復活に繋がることも考えられる。今ナポリが必要としているのは、レベル高い技術の選手ではない。精神的にチームを引っ張り、次のステップに持っていく選手です。
よく考えると、イブラヒモビッチが雑誌の取材で口にした「私は、現在は結果がついていないが再びトップに立つべきチームに移籍する」のはミランではなく、ナポリのことを意味していたかもしれません。本当にそうなるとミランのサポーターは2度と立ち上がれないショックを受けるだろう…。
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