Jリーグ ガンバ大阪

【新時代到来】ガンバ大阪 、生き残りのための3つの覚悟

【5人で守る守備対策】
ガンバの強みはファン・ウィジョとアデミウソンがタッグを組む強烈な2トップだ。対戦相手からすると厄介な存在である。そんな魅力的な攻撃陣を有する一方、守備面では大きな不安を残していた。

シーズン立ち上がりは三浦弦太とキム・ヨングォンの2センターバックは固定メンバー、そしてサイドバックは流動的に変更するシステムを多用していたが、ディフェンスラインの連携が甘くマークのスライドが遅延し不安定な守備が露呈してしまった。そのため多く得点を許す光景をサポーターは目の当たりにしてしまうことに。開幕3試合で8失点というのは何とも目を背けたいデータだ。

得点力はあるにも関わらず守備が安定しないため、本来勝ち切る試合でも接戦になったり勝ち点を取りこぼす。そんな燃費の悪いチーム状態に宮本監督はメスを入れ、5バックの守備構成にシフトさせた。三浦とヨングォンに加え髙尾瑠の3センターバックの固定メンバー、右には小野瀬康介か田中達也、左には福田湧矢か中村敬斗を相手チームに合わせて起用するようになった。

両ウイングバックの上下運動が鍵を握るこのフォーメーションに、メンバーたちは見事に応えた。このフォーメーションを採用してからのリーグ戦直近6試合はたったの2失点とこれまでの脆かった守備から脱却を果たしている。

ちなみに5バックによって攻撃力低下も懸念されていたが、あまりその影響を感じない。むしろファン・ウィジョにとっては好都合のように伺える。彼はスペースへトップスピードで侵入して攻撃の起点になることに長けており、これまでは味方攻撃陣がかえって彼らしさを邪魔していたのかもしれない。


 

【決死の若手選手起用】
「ガンバを攻略するには、押さえるべき選手が明らかだ」とある解説者が述べたこのコメントは近年のガンバの特徴を表す見事な表現だった。

前述したようにガンバのキーマンは遠藤と強力な2トップであり、彼らに仕事をさせない限り主導権を奪われることはないという共通理解で戦いに挑むチームが増え、手の内を見破られているガンバは手も足も出なかった。

その状況を打破するべく、宮本監督は各ポジションに若手の波を加える決断をしたのだ。今思えばその決断はまさに英断だった。宮本監督によって選ばれし若手たちは失意の底に沈んだガンバを蘇生させるカンフル剤としてピッチで躍動した。

特に髙尾瑠(22歳)、食野亮太郎(21歳)、福田湧矢(20歳)、中村敬斗(18歳)の勇敢なプレーに何か熱いものを感じる。髙尾は昨シーズンの天皇杯でガンバに勝利した関西学院大学の主力。食野や福田はアンダーカテゴリーで宮本監督と共に戦った秘蔵っ子。中村はU20ワールドカップにも招集された攻撃にアクセントを加えることのできる選手だ。

いずれの選手にも言及できるのは、インテンシティ高い現代フットボールに対応でき、その上で自分たちの個性を発揮できる選手であるということだ。臆することなくピッチで自分らしさを表現し、現有戦力との相乗で今後もチーム全体のパフォーマンスは向上するに違いない。


ページ 2 / 3

名前:秕タクオ

国籍:日本
趣味:サッカー、UNO、100均巡り

サッカー観戦が日課のしがないサラリーマンです。かれこれ人生の半分以上はサッカー観戦に明け暮れ、週末にはキルケニー片手にプレミアリーグやJリーグにかじりついています。

筆者記事一覧