大会:チャンピオンズリーグ
カード:パリ・サンジェルマンvsリバプール
スコア:2-1
担当医:菊池大将(@yukkenokonoko)
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審
マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):マルコ・ベッラッティ
3-5-2のような形でアンカーのポジションに入ったベッラッティ。リバプールのプレスを完全にかわし、ネイマールとキリアン・ムバッペのホットラインに幾度となくいい形でボールを運んだ。PSGが序盤から試合のペースを握ることができたのは彼存在によるところが大きい。また、ディフェンス面でも出足が良く、危険な場面でのカバーリングも質が高かった。
ザ・ハード・ワーカー(THW):PSGの全選手
PSGのすべての選手が勝ち点3を取るために労を惜しまなかった。前線、中盤、最終ラインのすべてが高い集中力と運動量、そして冷静な頭を忘れずにプレーした。
モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):モハメド・サラー
ファウルをあまり取ってもらえなかったこと、中盤からいい形でボールが入らなかったこともあるが、この試合のサラーに怖さはなかった。
PSGの攻撃vsリバプールの守備
ビルドアップは第1節でリバプールのプレッシングに対して修正した形を採用。3バックのセンターにマルキーニョスを配置し、両ワイドへのパスコースを確保しながらネイマールなどがパスコースに顔を出すことでボールを効果的に前に運んだ。ベッラッティがリバプールのプレスをことごとくいなし続けたことも大きい。リバプールはCBから通ったパスに対して中盤がPSGの中盤を捕まえきれず、前を向かれ続けてしまった。
リバプールの高い位置からの連動したプレッシングがハマりきらなかったことで、ムバッペ、ネイマールの両選手が近い距離間で位置的にも優位性をもって関係性を築き、多くのチャンスがこの2人のコンビネーションから生まれた。リバプールがPSGの両ワイドにまで徹底してプレッシングをかけ始めたころには、すでにPSGは2点を奪取していた。リバプールとしては修正を入れ、ベッラッティ、ネイマールが絡んでいないところでの組み立てでボールを奪う狙いはあったものの、奪いきれた回数は少なかった。
押し込んだ際のPSGはマルキーニョスが1列ポジションを上げ、両ワイドも攻撃に参加。リバプールの選手たちが自陣に何枚残っているかで攻撃に参加する人数をコントロールし、リスクの管理を行っていたのだろう。
後半はPSGの出足の良さも落ち着いたことでリバプールがボールを持つ時間も長くなり、PSGはよりカウンターに重点を置いた攻撃を見せた。リバプールはムバッペをフリーにしないことを徹底して後半に入っていただろう。
試合の時間が深くなり、リバプールの局所的かつ連動したプレスがハマりかけると、PSGはすかさず動いた。ダニエウ・アウベス、エリック・シュポ=モティングを投入し攻撃時も4-4-2に移行。攻撃から守備へスムーズに移行できる形を作り、シュポ=モティングの身長を活かしたロングボールも増えた。
リバプールの攻撃vsPSGの守備
4-4-2のブロックで守備をしてきたPSGに対して、リバプールはロングボールなど長短のパスを織り交ぜながらビルドアップ。しかし、中盤にボールが入った際のPSG選手たちの寄せが早く、前を向くタイミングでボールをさらわれる場面が目立った。また、PSGは最終ラインの選手がリバプール前線の選手に対して、下りてきた際にも徹底してついていくことで楔のボールに対してしっかりとプレッシャーを与えることに成功した。
4-4-2のブロックを敷くPSGに対して、リバプールは前線と2列目の選手を入れ替えるなど工夫を見せたが、PSGもマルキーニョスを1列挙げて一時的に3-4-3の形を作り出すなど柔軟な対応を見せた。前半終了間際にアンヘル・ディ・マリアがPKを献上したが、ディ・マリアをインサイドハーフ寄りのポジションで起用したということはそのあたりのリスクも織り込み済みだろう。
迎えた後半はPSGの出足も落ち着き、リバプールもボールを持つ時間が少しづつ増えていった。リバプールの局所的なプレスがハマりかけていくとPSGも、アウベス、シュポ・モティングを投入し対応。守備時には5バック気味に人を置いて、リバプールのウィンガーに対して数的同数にならないことを徹底した。対するリバプールはナビ・ケイタを投入したことで中盤にタメができ、アンドリュー・ロバートソンの攻撃参加からチャンスを作ることに成功。ただ、チアゴ・シウバを中心とした圧倒的な集中力によるカバーリングで決定機を作るには至らなかった。最後はPSGがアドリアン・ラビオを投入し、試合を殺している。
PSG監督:トーマス・トゥヘル
絶対に勝たなければいけない試合で見事に勝利を手中に収めた。用意してきた戦術も素晴らしく、監督の手腕で試合のペースを5割ほどは掴んだと言えるだろう。現代における3-5-2の1つの完成形を披露した。また、試合の局面をしっかりと読んだ交代カードの切り方も素晴らしく、リバプールに完全に流れを渡さずに試合を終わらせた采配は称賛に値する。
リバプール監督:ユルゲン・クロップ
采配勝負ではトゥヘルに軍配といったところだろう。ただ、中盤にボールを運べる選手が少ないという点は今後もリバプールを苦しめることになりそうだ。プレッシングのやり方を試合の中で修正する点は流石。ただ、根本的な解決には中盤の修正が必要だった。
主審:シモン・マルチニアク
ファウルの基準に対して曖昧さが目立った。ネイマールがフィルジル・ファン・ダイクにエリア内で倒されたシーンはPKを取ってもよかっただろう。ボールをかき出してはいたものの、ネイマールの足も一緒に払っていたのは事実だ。
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