ラ・リーガ バルセロナ

Dr.TRIBE【試合診断書】 ラ・リーガ第10節 バルセロナ対レアル・マドリード

大会:ラ・リーガ
カード:バルセロナvsレアル・マドリード
スコア:5-1
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):ルイス・スアレス

クラシコでハットトリックの大暴れ。前線で攻撃の基点になり、自らゴールを決めるだけでなく、多くのチャンスを創り上げた。ゴールとアシストがそれぞれもうひとつずつあってもおかしくなかった。

ザ・ハード・ワーカー(THW):セルジ・ロベルト

スアレスのゴールをふたつアシストし、前半は右サイドバック、後半は主に右WGとしてプレー。守備時のインテンシティを前線に持ち込み、元々インテリオールの選手である自身の能力を活かして、ボールポゼッションにも安定感をもたらした。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):ガレス・ベイル

終始イライラしていた様子の、マドリードの新エース候補は必要以上に激しいタックルを相手に浴びせるなど、試合に入り切れていなかった。攻撃面でも目立った活躍ができず、終始蚊帳の外といった具合で、90分間プレーせずにピッチを退いた。


バルセロナ(青)の攻撃vsマドリード(グレー)の守備

バルセロナ:4-1-4-1でブロックを敷くマドリードに対して、アンカーの14番カゼミーロの脇に両WGがポジショニングしてボールを引き出し、フィニッシュまで持ち込んだ。

前半はマドリードがハーフラインあたりから中盤ラインにプレスをかけ、CBは放置状態だったので、DFラインには時間がたっぷりあった。しかし、後半からシステムを変え、前から人を捕まえてプレスをかけてくるマドリーに対して、パスの逃げどころが作れず、9番スアレスへのロングボールに終始する時間帯も。

しかしプレスをはがしてカウンターから3点目を決めて以降は、同数になっている敵陣へロングボールを蹴り込んで前線の選手に勝負させる形を作り、得点を重ねた。

マドリード:高い位置をとる相手SBに対して、SMFがつくのか、SBに受け渡すのか曖昧(あいまい)で、1失点目は中に絞った7番コウチーニョの動きに少しつられた、6番ナチョの裏を、18番ジョルディ・アルバが獲った際に11番ベイルが受け渡す意図を示していたものの、間に合わずに崩されたことが原因だった。

後半に入ってから、システムを3-1-4-2に変更。形が多少違う中盤では22番のイスコがブスケツを捕まえ、全体として人をつかみに行って前からプレスをかけて高い位置でボールを奪う回数を増やした。

DF3人が同数で守ることになる大きな賭けでもあったため、時間が経つにつれてそこを狙われ、最終的には5失点。


マドリード(グレー)の攻撃vsバルセロナ(青)の守備

マドリード:前半は9番カリム・ベンゼマが左サイドに流れ、イスコは中央でトップ下のような位置、ベイルが中央に入ってCFを務めるなど、3トップは比較的流動的に動いていた。

しかし8番のアルトゥールがポジションを上げて2トップに近い形でプレスをかけてくるのに対して、数的優位を確保しながらビルドアップをすることができず、10番のルカ・モドリッチと8番のトニ・クロースが前を向いてボールを触る回数が少なかった。

後半からシステムを変えて、DFラインで3vs2の数的優位作りながら、中央も3vs2、高い位置で幅をとったWBにボールを入れて、そこからのクロスやコンビネーションでバルサの守備を横に広げ、風穴を開けた。

バルセロナ:アルトゥールがスアレスに近いラインまでポジションを上げて相手CBをけん制する4-4-2に近い形の守備ブロックを、この試合でも形成。メッシがいないことで、組織的にプレスに行きやすい環境が整っていた。

後半からシステムを変えてきたマドリードに対して、誰が相手のWBを見るのか、どこからプレスに行くのかがあやふやになり、15分間ほど防戦一方になった。

しかし2番のネルソン・セメドを投入し、20番のセルジ・ロベルトを一列前に上げ、さらに7番コウチーニョを11番ムサ・デンベレに交代することで、サイドの機動力をアップさせ、横と縦のスライドをよりスムーズにし、WBの攻撃を鎮めることに成功した。


バルセロナ監督:エルネスト・バルベルデ

前半は狙い通りの展開で先制点を奪取。2点目はPKだったものの、そこに至る崩しがあってこそのものだった。

後半開始からシステムを変えてきた相手に対して、あたふたしたことは事実だが、しっかりと解決策を見つけて、交代策で流れを引き戻した。途中交代で入った2人がしっかり得点に絡んだこともバルベルデにとって非常にポジティブな要素だろう。


レアル・マドリード監督:フレン・ロペテギ

前半チームとしてどんな狙いをもってプレーしていたのか、全くわからなかったことには大きな疑問が残る。

後半は半分賭けの要素が強いものの、見事なアジャストメントを見せ、あわや同点というところまで迫ったものの、プレスを裏返されたところから3点目を決められ、そこから大崩れして大敗を喫した。

マドリードの監督としての未来はもうないと言っていい。スペイン代表解任から4ヶ月。ドタバタ劇の終幕はもうすぐそこだろう。


主審:サンチェス・マルティネス

前半はマドリードの選手に覇気がなかったことも手伝ってか、珍しく荒れた試合にはならなかったため、さして議論の的になるようなファウルもなかった。PKのシーンでもオンフィールド・レビューで確認したうえで判定を下し、この試合に対する気持ちの入りようがうかがえた。

試合全体を通してそつなくこなし、観ている人の邪魔をしない、十分なレフェリングだった。