チャンピオンズリーグ

Dr.TRIBE【試合診断書】 CLグループステージ シャフタール・ドネツク対ホッフェンハイム

大会:UEFAチャンピオンズリーグ
カード:シャフタール・ドネツクvsホッフェンハイム
スコア:2-2
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):レオナルド・ビッテンコート

1アシストを記録。守備ではIHとしてスライドをしながら、相手CMやSMFにボールが入ったところにアプローチし、ボールを奪取して攻撃の基点に。64分までの出場だったが、十分に仕事を果たした。

ザ・ハード・ワーカー(THW):タラス・ステパネンコ

ラキツキーとともに攻撃の開始点として重要な役割を担った。守備ではバイタルエリアを埋めながら、攻撃では機を見てゴール前まで顔を出すなど、優れた前線のタレントを活かすために尽力した。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):ジュニオール・モラエス

エースとしての活躍が期待されたものの、まだまだ周囲の選手との連携が取れておらず、チャンスに絡むシーンが少なかった。シュートは1本のみに終わり、ホッフェンハイムディフェンスを脅かすには至らなかった。


シャフタールの攻撃vsホッフェンハイムの守備

シャフタール:6番のステパネンコがCB間に落ちて相手の2トップに対して3バックでビルドアップする形を作り、キック精度の高い44番のラキツキーから前線へ縦パスを入れる。2列目の3人はペナ幅でプレーをし、SBがオーバーラップして来て幅をもたらす。

低めの位置に敷かれた相手の5-3-2のゾーンブロックによって、SMFがポジションをとっているハーフスペースをうまく使うことができず、チャンスはサイドをゴールライン際までえぐってのプルバックのみだった。しかし57分にコバレンコを投入して、7番のタイソンを左に出し、より4-2-2-2に近い形にしてから、相手のCBとWBの間を使えるようになった。

ホッフェンハイム:5-3-2のゾーンブロックを自陣深めに敷いて、ハーフスペースを消しながら、相手の2列目の選手のプレーエリアを潰した。相手SBに対してはWBが対応するが、サイドにボールがある時はIHもスライドしてサイドラインまでアプローチに行く。

相手のゴールキックの際は、前から人を埋めていく形を見せることも複数回あったが、試合を通じて5-3-2の守備隊形は変わらず、両WBとIHには運動量が求められた。


ホッフェンハイムの攻撃vsシャフタールの守備

ホッフェンハイム:奪ってからゴール前まで運ぶのが早く、ポジティブトランジションで選手全員の矢印が前に向き、両サイドに必ず幅を作って、高い位置をとる相手SBの裏をうまく突きながらチャンスを作った。ビルドアップの時に22番のフォクトが少し上がってアンカーのようなポジションをとる。これによってモラエスを押し下げるか、GKまでプレスに行っても両脇のCBとともに3vs1でプレスを無効化した。

両WBがスピードで相手を上回っていたため、個人突破からのクロスでゴールに迫ることができた。3列目からもゴール前に飛び出す意識は高く、先制点はまさにその意識の高さから生まれたゴール。

シャフタール:守備時は4-2-3-1のオーガナイズで、相手がミドルサードに入ってからプレスを開始。配置としては全てのポジションが完全に重なる布陣だったが、両SMFは相手の両脇のCBにアプローチにはいかずにハーフスペースに立って相手IHへのパスコースを切り、そのゾーンからは出て行かない。

DFラインを高く保ち、全体をコンパクトに保ったが、その裏をとられてピンチをむかえるシーンが、特に前半に多く見られた。


シャフタール監督:パウロ・フォンセカ

2度もビハインドを負った中で引き分けに持ち込んで勝ち点1をチームにもたらした。交代で投入した選手がことごとく機能し、マイコンは同点弾を叩き込んだ。

主力選手が引き抜かれた後の難しいCLでの船出で勝ち点を得たことは大きい。ホームで勝てなかったことは痛いが、この試合で見せた対応力は、彼の監督としての手腕の確かさを物語っている。


ホッフェンハイム監督:ユリアン・ナーゲルスマン

CL最年少監督となったナーゲルスマンだったが、2度のリードを守り切ることができずに初戦をドローで終えた。見事に組織されたチームは特に前半に狙い通りの展開で試合を進めたが、相手の変化に対して少し反応が遅れたことは否めない。

選手全員にハードワークさせることができるのは、彼の才能だけではなく人望もあってのことだろう。チームとしてはフィニッシュの局面での粗さを整える必要がありそうだ。


主審:ヤコブ・ケレト

CLデビューとなったこの試合で、ほとんどの時間を的確な判断でさばいていた。しかし、ラキツキーが後ろからタックルに行ってクラマリッチを止めたシーンはレッドカードが出てもおかしくなかった。マルロスのシュートをゴール直前でホッフェンハイムの選手が弾いた場面は、もしかするとハンドだったかもしれない。さらに、モラエスに対してのポッシュのチャレンジは、ファウルをとってイエローカードを提示するべきだっただろう。