ラ・リーガ バレンシア

Dr.TRIBE【試合診断書】 CLグループステージ バレンシア対ユベントス

大会:UEFAチャンピオンズリーグ
カード:バレンシアvsユベントス
スコア:0-2
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):ブレーズ・マテュイディ

攻撃時と守備時で少しオーガナイズが変わる、可変システムを採用できるのは彼の存在が大きい。10人になってからも起用に複数のポジションをこなし、後半に入ってもスプリント力は落ちなかった。

ザ・ハード・ワーカー(THW):フェデリコ・ベルナルデスキ

右サイドで幅を作り、守備時にはスライドを怠らずに、カンセロとともにゲデス、ガヤのいるバレンシアのサイドを制圧した。終盤にはさすがに疲れを隠しきれない場面もあったが、粘り強くサイドで自分の仕事をした。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):ダニ・パレホ

相手が10人になり、これから得点を狙いに行こうという時に、軽率なプレーでPKを献上。それだけでなく、試合最後のプレーでPK失敗。流れの中でも普段では見られないようなミスが目立ち、キャプテンとしてチームをけん引することができなかった。


バレンシアの攻撃vsユベントスの守備

バレンシア:基本的には10番のパレホか18番のバスを経由してサイドから攻撃する、いつも通りの攻撃。相手の4-4ゾーンのシームにあたる左右のハーフスペースで、それぞれ7番のゲデスと8番のソレールがボールを受けて前を向き、それに19番のロドリゴが顔を出す。

相手のオーガナイズが4-4-2だったこともあり、SBのスタートポジションは高くない。相手が10人になってからはタイプの異なるフォワードを2枚投入して中央を厚くしたが、崩し方を特別変えたわけではなかった。

ユベントス:11人の時のオーガナイズは4-4-2。攻撃時はウィングの近いポジションをとる7番のC・ロナウドが17番のマンジュキッチとともに2トップを組み、33番のベルナルデスキと14番のマテュイディがSMF。

序盤はパレホにボールが入った時に、5番のピアニッチやマテュイディがアプローチに行く場面があったが、10人になってからはそれはしなくなった。自陣ゴール前での高さは勝っているため、クロスボールは入れさせてもOKという姿勢で、サイドに誘導してボールを奪う。相手SBにはSMFがしっかりついていく。10になってから4-4-1に変わったが、ゾーンの意識がより強くなっただけでその他は11人の時とさほど変わらない。


ユベントスの攻撃vsバレンシアの守備

ユベントス:攻撃時のオーガナイズは4-3-3。どちらかのSBが高い位置をとった時はもう一方は下がる。左サイドでC・ロナウドが幅をとることが多く、12番のサンドロとと、流れてきたマンジュキッチ、マテュイディらとともに数的同数を作りながらアーリークロスでファーサイドを狙う。

ビルドアップではピアニッチがCBのヘルプに入ってパスを引き出す。パスコースを切られている時はサイドに流れたり、ジャンが6番のケディラと交代してからは、ジャンが下がってボールを運ぶことも。相手の4-4-2のブロックの外側にボールを運んで、相手を横に間延びさせた。

バレンシア:4-4-2の横にも縦にもコンパクトな守備ブロックを形成し、CMとCB間のスペースを使わせない布陣。しかし一番外側からアーリークロスを放り込まれることでスライドが遅れて何度もピンチを迎えた。

ピアニッチへのパスコースは2トップのどちらか(主にロドリゴ)が消して、C・ロナウドへは積極的に“ちょっかい”を出すことでイラつかせる意図を感じさせた。


バレンシア監督:マルセリーノ・ガルシア

後半のFWを2枚同時投入した場面から考えるに、まだ選手たちをどのように起用するのが一番効果的なのか探っているようのだろう。4-4-1の強固なブロックを構える相手に対して特に策を講じることもなく敗れた。

クラブとして2015/16シーズンぶりのCLだっただけでなく、マルセリーノ本人にとっては初のCLだったことで堅さはあったのだろう。C・ロナウドをうまくイラつかせることには成功したが、チームとして勝ちに行ける形を最後まで見つけることができなかった。


ユベントス監督:マッシミリアーノ・アッレグリ

結果としてバレンシアとの経験の差、実力の差を見せつけた形となったが監督としてはネガティブ要素の多い試合となってしまった。C・ロナウドは不可解極まりない判定により一発退場、ケディラとドウグラス・コスタは怪我に寄り途中交代となった。

決勝トーナメント進出を争う相手のホームで完勝したことがすべてであり、アクシデントがありながらも、すべてに対して冷静に対応したアッレグリ監督にはあっぱれだ。


主審:フェリックス・ブリッヒ

この試合の主役の座に躍り出たブリッヒ主審。ドラマチックにファウルをアピールする、ラ・リーガのクラブらしいバレンシアの演技に翻弄されてしまったのか、全く必要のないレッドカードをC・ロナウドに提示して、試合を壊してしまった。これが影響し、両者通じて3つのPKを与え、“見どころの多い”試合を演出した。