ラ・リーガ バレンシア

Dr.TRIBE【試合診断書】 ラ・リーガ第4節 バレンシア対レアル・ベティス

大会:ラ・リーガ
カード:バレンシアvsレアル・ベティス
スコア:0-0
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):シジネイ

フェダルの代役として出場し、印象的なパフォーマンスを見せた。スピードがあり、斜め後ろへのカバーリングが秀逸で、相手に自由を与えなかった。また攻撃面でもビルドアップの基点となり、バルトラからのパスを防がれる中で効果的に攻撃を組み立てた。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ダニ・パレホ

クロスバーに直撃する惜しいシュートを放ち、チームに勢いをもたらした。イエローカードをもらったシーンのファウルは必要なものであり、さすがのプレー。アクシデントでバスが投入されてから、ボールを持てる時間が増え、左右に散らして相手を広げ、守備に備えたポジショニングで相手の攻撃をけん制した。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):アントニオ・サナブリア

今季初の先発に抜擢されたものの、フィニッシュに絡むことはほとんどなく、シュートも0本に終わった。ディアカビとのフィジカル勝負に敗れ、攻撃の基点になることができなかった。


バレンシアの攻撃対ベティスの守備

バレンシア:4-2-2-2のような形でサイドバックを高い位置まで押し上げて、サイドからのクロスボールでゴールに迫った。前半中盤までは思ったようにその形を作れなかったものの、ガメイロが縦パスを引き出して、ロドリゴと縦関係になり、縦のワンツーで相手をずらしてチャンスを作れるようになった。

ゾーンがあいまいでマークの受け渡しがスムーズでなかった相手守備陣に対して、2トップとSMFがポジションを入れ替えながらズレを作ろうと試みた。組み立て時のSBのスタートポジションは高くなく、基本通りどちらかが上がればどちらかが残る。

ベティス:前から行く時間帯もあったが、基本的には5-4-1のブロックを敷いての守備。相手SBにはシャドーの選手がついていく。

人についていく意識は強めで、マークの受け渡しでもたつく場面も。しかし5-4のラインの間隔は狭く、特に中央は絶対に使わせないようCMとCBで締めていた。


ベティスの攻撃対バレンシアの守備

ベティス:3バックでボールを回し、カナレスかグアルダードにボールを入れてサイドチェンジを織り交ぜながら、相手を左右にふって崩しにかかる。サイドのCBとWBとシャドーの選手vs相手のSMFとSBで3vs2の局面を作り、相手のSMFを前か横に引き出してから、空いたCMの横のスペースに、シャドーの選手が落ちてくる形で多くのチャンスを作った。

前に出てきた相手に対して、パウの浮いたミドルパスで局面を打開するのもひとつのビルドアップの形。WBやシャドーの選手がアタッキングサードのハーフスペースで、前向きでボールを持ったら、CFや逆のシャドーの選手は、斜めにDFラインの裏を狙って走り込む。

バレンシア:前半は最初の5分以外低い位置で4-4-2のブロックを敷いていた。相手のサイドのCBに対してはSMFがアプローチするも、シャドーの選手が気になってSBは相手のWBまで出てこれず、何度もそこを利用された。

後半から全体の位置を上げて3CBに対して、2トッププラスSMFでプレスをかけながらSBを前に出しWBをマーク。ベティスの両CMへのパスコースは2トップが切りながら、2CMがそれぞれアプローチに行ける距離まで詰めて、ビルドアップを封じた。終盤のピンチは疲れから個人ではがされることが増えたため。


バレンシア監督:マルセリーノ・ガルシア

前半中盤まで完全にベティスのペースだったが、そこから修正して主導権を奪った。若いトーレスと、チェリシェフを先発出場させ、ロドリゴの相方にはガメイロを起用した。

攻撃面で創造性に欠けるのことは今後の課題であり、引き分けを狙ってきたベティスを最後まで崩し切れなかった。前線のオプションは豊富であり、それぞれを活かす形を見つけるにはもう少し時間がかかりそうだ。


ベティス監督:キケ・セティエン

シジネイをフェダルの代役で出場させ、CMはグアルダードとカナレスのコンビを選択。シャドーには乾とブデブズを配置し、ワントップには今季初めてサナブリアを起用した。試合の入りはスムーズで、狙い通りの展開だったものの、アジャストされてからそれに対応するのに少し時間がかかった。

展開によってレオンや新戦力のロ・チェルソを投入して流れを引き戻すあたりには、手腕の確かさを感じさせる。途中から引き分けを狙いに行き、しっかりと敵地で勝ち点1を持って帰ったことは十二分に評価できる。


主審:エルナンデス・エルナンデス

この試合の主役と言ってもいい“活躍ぶり”だった。ジャッジの基準があいまいで、あまりにも笛を吹きすぎ、あまりにもカードを出しすぎた。笛を吹くタイミングが遅いことも両チームの選手とサポーターをエキサイトさせる原因となり、必要以上に荒れた試合にしてしまった。