ジョゼ・モウリーニョ監督はこれまでにポルトガル、イングランド、イタリア、スペインで数々のタイトルを獲得。監督として高い手腕を見せる一方で、過激で挑発的な発言がたびたび波紋を呼んでいる。
そこで今回は英紙『フォー・フォー・トゥー』が特集した「モウリーニョの敵と味方」をご紹介したい。
敵:エド・ウッドワード
マンチェスター・ユナイテッドと今年1月に契約延長を果たしたモウリーニョだが、最高経営責任者エド・ウッドワードとの関係性は悪化している。
今夏の移籍市場でモウリーニョは、トビー・アルデルべイレルト、ハリー・マグワイア、イバン・ペリシッチ、ウィリアンなどの獲得をクラブに求めていたが実現しなかったとみられている。
モウリーニョは近い友人に「他のクラブなら辞めている」と漏らしたと英紙『Mirror』などが報じており、ウッドワード氏からのサポートの乏しさに大きな不満を抱いていることは間違いないようだ。
味方:ウィリアン
今夏契約したかった選手の一人はウィリアンと目されている。2013年から2015年にモウリーニョが率いたチェルシーで重要な役割を担っていた。
ウィリアンは今年7月に英メディア『ESPN』に対して以下のようにコメントを残している。
「彼(モウリーニョ)は今まで共に働いた監督の中で最高の監督だ。僕たちはとても良い信頼関係を築いているし、僕と彼は友達だ」
「いまでも時々話すし、WhatsApp(アプリ)でメッセージを送っているよ。本当に素晴らしい監督で、彼との仕事はとても楽しかった。いつか再び彼と仕事が出来ることを願っているよ」
敵:アーセン・ベンゲル
プレミアリーグ史上最も醜い争いの一つだろう。基本的にベンゲルとモウリーニョは異なるサッカー観を持っている。前者はスタイルとパフォーマンスを重視。後者はとにかく結果を重視し、「詩人」や「理想主義者」的な考え方を持つ前者に対して軽蔑しているかのような態度をとった。
モウリーニョはベンゲルに対して2005年には「出歯亀」、2014年には「失敗の専門家」と蔑称をつけた。
今年5月、ベンゲルが退任する際には「リスペクトし合っている」とコメントしていたが、彼らが友達になることは難しいだろう。
味方:マルコ・マテラッツィ
インテルでイタリア史上初の三冠を達成したあと、2010年にレアル・マドリードの監督就任が発表された。インテルを去ると発表されたとき、マテラッツィは他の誰よりも動揺していた。
屈強なセンターバックとして知られていたが、人目をはばからずカメラの前で涙を流しコメントを残した。
「私はモウリーニョと(マルチェロ・)リッピが世界最高の監督だと思う。彼らは明確な結果を残しただけでなく、私に大きな経験を与えてくれた。モウリーニョは人を動かす力、賢さ、知識、経験、共感力を兼ね備えている」
敵:ミノ・ライオラ
ライオラは静かに舞台裏で動く代理人ではない。自分の意見を躊躇なく口を出す。
彼の顧客であるポール・ポグバは2016年にユナイテッドへ移籍したが、マンチェスター・シティへの売り込みを行うなど定期的に本人へクラブからの退団を勧めていると報じられている。
モウリーニョにとっては心底めんどくさい代理人だろう。
味方:ズラタン・イブラヒモビッチ
ライオラの顧客でもあるイブラヒモビッチだが、モウリーニョとは常に良好な関係を築いている。2016年に自由移籍でマンチェスター・ユナイテッドへ加入した。
自伝「I AM ZLATAN」には「モウリーニョはグアルディオラの反対だ」と最大限の賛辞を送っている。
「モウリーニョが部屋を明るくするなら、グアルディオラはカーテンを閉めて暗くするようなものだ。グアルディオラは自分自身を計ろうとする男。モウリーニョは私とともに喜んで死んでくれる男だ」
敵:セルヒオ・ラモス
レアル・マドリードを率いていたモウリーニョはイケル・カシージャスを控えGKに降格させた。ドレッシングルームでの存在感は大きく、チームメイトからの人気も高かったため、モウリーニョは数名の選手と衝突している。
モウリーニョのもとで、サイドバックからセンターバックへコンバートされたセルヒオ・ラモスもその一人だ。
昨年記者からモウリーニョについて問われると「それが(ポジションのコンバート)が僕のキャリアに大きな影響を与えたとは思えない。モウリーニョはキャリアの中での1人の監督にすぎない。彼にはとても感謝しているが、僕の人生を変えた存在ではない」とコメントしている。
味方:デコ
2004年にポルトでともにUEFAチャンピオンズリーグを制覇したモウリーニョとデコ。近年、デコはモウリーニョに対して常に賞賛を送っている。
2013年にデコは「モウリーニョは私が指導を受けた中で最高のコーチだ」とコメント。「彼が言ったことをすれば必ず結果出ると確信させてくれた。モウリーニョの仕事は信じられないほど素晴らしかった。私は多くのことを学んだよ」と絶賛。
「常に関係性は良好だし、いまでも私たちは良い友人だよ」と語っている。
敵:アントニオ・コンテ
チェルシーの監督就任1年目でスタンフォード・ブリッジに栄光を取り戻したことはモウリーニョにとって気分の良い出来事ではなかった。
関係が悪化したのは2016年のチェルシーvsマンチェスター・ユナイテッドの一戦(ユナイテッドが4-0で敗北)。コンテが試合後、全身で喜びを表現したことに対して、モウリーニョは「屈辱を受けた」と主張。
その後、記者会見などを通して何度も舌戦を繰り広げた。
味方:ジョン・テリー
モウリーニョはドレッシングルーム内で人心掌握術を発揮できたとき、監督として成功を収めている。
チェルシーではフランク・ランパード、ペトル・チェフ、ディディエ・ドログバなどが指揮官に心酔。特にキャプテンのテリーはのちに「私が今まで指導を受けてきた中で、最高のコーチであった」とコメント。
「彼は最後の力を振り絞らせる方法を知っていた。全てを持ち合わせていたよ。力強さ、細部へのこだわりは驚異的だった」
敵:ラファエル・ベニテス
味方:アイトール・カランカ
ブレンダン・ロジャーズ、アンドレ・ビラス・ボアスと同じくモウリーニョの下でコーチを務め、監督となったアイトール・カランカ。現在も師弟関係は続いているようだ。
「彼(モウリーニョ)と彼のスタッフに何度も感謝の言葉を述べなければならない。私は現在プレミアリーグの指揮をとっているが、これは彼から多くのものを学んだ結果だ。私たちは本当に良い関係を築けているし、本当の友達だ」
敵:クラウディオ・ラニエリ
2人の間には長い口喧嘩の歴史が存在している。2008年にユベントスを率いていたラニエリは「私はモウリーニョのように安心を手にするために勝つ必要はない」と口撃。これに対し、インテルを率いていたモウリーニョは「だからこそ多くの勝利を手にしてきたんだ。70歳近くにもなって、スーパーカップ1回と小さなタイトルしか獲得できないんだ」と当時56歳のラニエリに対して言い放った。
(編集部補足)
ただ、近年は関係が改善。モウリーニョがレスターの指揮官を解任された時、ラニエリを支持。インスタグラム上に「友よ笑顔を保ってくれ。あなたが残した歴史は誰にも消すことができない」と投稿するなど、互いにリスペクトを感じさせるメッセージを送っている。
味方:アルバロ・アルベロア
レアル・マドリードを率いていたモウリーニョはドレッシングルームで数名の選手と衝突したが、アルベロアは常に監督の側にいた。モウリーニョもアルベロアを信頼し「特別な男」、「私が指揮をとった中で最も重要な選手の一人」と絶賛している。
昨年にもアルベロアがモウリーニョについて「サッカー界で最も勇敢な男」と称賛するなど、現在も良好な関係を築いている。
敵:ジョゼップ・グアルディオラ
モウリーニョとグアルディオラはバルセロナでコーチと通訳としてともに過ごしていた。しかし、その後前者はレアル・マドリード、マンチェスター・ユナイテッドの監督に、後者はバルセロナ、マンチェスター・シティの監督に就任。強烈なライバル関係を持つクラブを率いている。
両者の関係は最悪ではないが、友達と呼べる関係でないことは確かだろう。
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