その他

サッカー界で軽視されてきた脳震とうの危険性と改善されるべき対応策

脳震とう

ボールを競り合う選手たち 写真提供:Getty Images

 脳震とうへの理解とともに強化されるべき選手の安全

 現在ゴールライン・テクノロジーやVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が導入されるなど、サッカー界は変革の時を迎えている。

 選手の安全に関しても、以前に比べれば対策が講じられるようにはなったものの、いまだ十分とは言えない。特に頭部を負傷した場合には、即座にプレーをとめて治療を受けるようルール変更がなされたが、多くの場合十分な診察がなされているとは思えない。なぜなら実際に、頭部に衝撃を受けて、一瞬意識を失ったように見えた選手が、ドクターに止められることもなく試合に復帰している場面を、幾度となく見ているからだ。

「スポーツ頭部外傷を可視化する」

 以上の記事によれば、脳震とうを発症した場合は、当日の復帰は不可であり、完全に消失するまで復帰は望ましくない、としている。もし症状が残っている時に2度目の脳震とうを起こすと、セカンド・インパクト症候群と呼ばれる、致死的な脳腫脹をきたす場合があり(これに対する懐疑的な意見もあり)、リスクが大きすぎるからだ。

 そこで提案したいのは、頭部の怪我に対する新たなルール作りだ。NFLのルールを参考にし、例えば、
 1.試合の行われる日には、脳外科医をスタジアムに必ずひとり以上配置することを義務とする。
 2.試合中に脳震とうと診断された選手は、その試合への復帰を不可とする。(負傷した選手のチームにはもう一つ交代枠が与えられる、などのルールがあってもいいかもしれない)
 3.脳震とうを発症した選手は、それが完全に消失するまで出場不可とする。
などの手段を試験導入するのはどうだろうか。

 選手の安全に対する積極的なルール変更は、サッカー界に未だ残る、負傷しながらもプレーした選手を称えるような悪しき習慣を排除し、新たな魅力を引き出すはずだ。

ページ 3 / 4