著者:マリオ・カワタ
森保一監督が日本代表の新指揮官に就任することが決まった。西野朗監督の後任候補には複数の外国人指導者の名前も挙がっていたが、最終的には国内屈指の実績を誇り西野ジャパンにコーチとして携わっていた森保氏が起用されることになった。
「森保ジャパン」はいくつかの点で、最近の日本代表監督の人選の流れを変えるものだ。まずは、彼が日本人であるということ。1998年W杯出場後に日本代表を率いた日本人監督は岡田武史氏と西野朗氏の2人しかおらず、どちらも外国人指揮官の後を継ぐ形での緊急登板だった。
W杯終了後の時点で4年後を見据えて日本代表を任される日本人監督は、森保氏が初めてということになる。90年代以降サッカー後進国の日本が強化のために外国人監督を招いてきたのは当然の選択だったが、なぜ今のタイミングで「国産」の日本代表誕生に踏み切ったのだろうか。
一番の理由は、ロシアW杯での西野ジャパンの成功だろう。非常に難しい状態でチームを受け継ぎながら、西野監督はあと一歩でベスト8に手が届く成功を収め世界を驚かせた。的確で大胆な采配だけでなく、強豪と渡り合える日本の特徴を活かしたサッカーを短時間で作り上げた手腕は、日本人指導者への信頼を大いに高めるものだった。
そして西野ジャパンの成功を受け継ぐという点でも、コーチとしてチームの変化に携わった森保氏は最適ということになる。これは4年ごとに露呈した課題への対処を外国人監督に託して方針転換してきた日本代表が、ほぼ初めて方向性の継続に重点を置いて新監督を選定したと捉えることができるだろう。
もちろん森保監督には継続だけでなく、進化が求められる。サンフレッチェ広島時代にミハイロ・ペトロビッチ監督からチームを受け継ぎ、毎シーズン改善を重ねて最初の4シーズンで3回のリーグ制覇を達成した実績は、戦術的な懐の深さを十分に証明するものだ。
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