
代表チームをサポートする空気の欠如
最後に指摘したいのは、ドイツ国内の代表チームに対するサポートの欠如だ。スウェーデン戦で劇的な決勝ゴールを決めたクロースが試合後のインタビューで語ったのは、一部の自国民に対する皮肉だった。
「僕たちが今日敗退していたら、ドイツの比較的多くの人々が喜んだだろうね。しかしそう簡単には行かせないよ」
劇的な勝利の後で、ヒーローがまるで自国のファンと戦っているような言葉を残す。それは代表チームを取り巻く雰囲気の悪さを象徴する出来事だった。彼らに多くのネガティブな言葉が向けられることになった大きな理由の一つが、エジルとギュンドアンのトルコ大統領面会問題だ。
2人がドイツ大統領やドイツサッカー連盟と話し合いの機会を持ったことでいったんは収束したかに見えたこのスキャンダルが、大会直前の親善試合でエジルとギュンドアンが自国のファンからブーイングを受けたことでぶり返し、本大会にも影を落とすことになった。一部サポーターやメディアは批判を繰り返し、W杯に向けて国が一致団結する雰囲気には程遠かったのが現実だ。韓国戦後にスタジアムのファンと激しい口論を交わしたエジルは、今後代表でプレーすることはないとさえ言われている。
慢心から大会前の戦術的な準備に失敗し、主力選手を固定し続けたことで停滞感の生まれてしまったチームにとって、こうしたネガティブな雰囲気がさらに足を引っ張る存在だったのは間違いない。
2010年にはイタリア代表、2014年にはスペイン代表がグループステージで敗退している通り、世界王者が4年後も好成績を残すのは簡単ではない。ドイツは若いタレントが育っていない訳ではなく、今大会の失敗をひとつの時代の終わりと捉え、新たなスタートを切る必要があるだろう。そもそもドイツが育成組織を改革し黄金時代を迎えたのは、2000年欧州選手権で惨敗したショックがきっかけだった。今大会の敗北と屈辱が、この先のドイツサッカーをどう変えるのか。その反撃に注目したい。
著者:マリオ・カワタ
ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC
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