著者:西村拓
ロシアワールドカップ(W杯)グループCのフランス対オーストラリア戦が16日に行われ、フランスが2-1でオーストラリアを下した。この試合で注目されたのがW杯初のVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)による判定だ。
フランスは後半、アントニオ・グリーズマンがペナルティエリア内で倒された。主審はPKを取らなかったが、VARによる判断の結果、フランスにPKが与えられた。
最近よく聞くようになったVARという言葉、そもそもどんなものであり、なぜ注目されているのだろうか?
VARとは
VARとは主審がピッチ上で起きた事象について映像を用いて確認することである。既にブンデスリーガやセリエAなどで導入が始まっているがW杯では初の試みとなる。VARを用いる対象は以下のプレーに対してである。
1. 得点に関すること
2. ペナルティキックであるか、そうでないか
3. 間違った選手に対しての退場処分、または警告処分であったかどうか
先の試合でのVAR判定は1についてである。VARを使用するタイミングとしてはプレーが途切れた際に主審が耳に手をてるサインをし、それがVAR審判とプレーを確認する合図である。確認後VARの確認を開始する場合はモニターを描くジェスチャーをする。
VARのメリット、デメリット
導入後賛否両論あるVARだが、デメリットとしてはやはり試合の遅延だろう。先ほどの手順は時間を要するものでありフランスにPKが与えられたシーンでは5分後にその判断が下された。試合の盛り上がり、スピード感が失われるとの批判の声が多くある。
メリットとしては判断の正確性向上や審判の負担軽減などが挙げられる。FIFAの会長であるジアンニ・インファンティーノはVARに対して好意的な見方をしており、次のように語っている。「VARがなければ主審は3試合に1回大きなミスを犯してしまうが、VARの試験的導入中では19試合ごとに1回のミスしか起こっていない。」
VARは今後どうなるのか
FIFAに加えてサッカーのルールを決める機関である国際サッカー競技会(IFAB)も3月にVARの正式導入に賛成し、決定したことからVARはより広範囲の試合に用いられるだろう。リーガ・エスパニョーラやリーグ1(フランス1部リーグ)では来シーズンから実施される予定である。
しかし、今のところプレミアリーグとチャンピオンズ・リーグに関しては来シーズンの導入の予定はないようだ。だが、この決定が将来的に変更される可能性は十分にあるだろう。
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