Jリーグ サンフレッチェ広島

武器のはずのリアクションサッカーに敗北。C大阪が突いた広島の弱点

セレッソ大阪のユン・ジョンファン監督 写真提供:Getty Images

 アウェイチームは残り時間が20分になってからやっとチャンスを作り始め、試合はスリリングな展開となる。杉本は2回の決定機を迎えたが、どちらも得点には至らなかった。試合を決定づける瞬間がやってきたのは、81分だった。キム・ジンヒョンが立て続けに2つのセーブでサンフレッチェの攻撃を食い止め、すぐにボールを前線のセンターフォワード、ヤン・ドンヒョンに送る。それまで存在感の薄かった韓国人FWは水本裕貴を本来のポジションから引き出すと、空中戦に勝利して高木を右サイドバック和田拓也の裏のスペースへ走らせた。そして高木は林卓人との1対1の好機をきっちりとものにした。先制点の前の時点でもセレッソで最も危険な選手だった高木は、3分後にもペナルティエリアの角から右足でゴールの隅へシュートを叩き込み、2点目を決めている。

 サムライブルーに選出されなかった清武と杉本に失望が残る一方、途中出場の選手が試合を決め、柿谷曜一朗をベンチに置いて代役のヤン・ドンヒョンが重要な貢献を見せたセレッソは選手層の厚さを証明した。セレッソを代表してロシアに向かうことになるキム・ジンヒョンと山口蛍の2人も、スポットライトを浴びた。キムは数々のビッグセーブと正確なキックを見せ、山口は中盤をコントロールし常にいいパスを供給していた。ワールドカップに向けた日本代表候補に選出された青山も悪い出来ではなかったが、キャプテン同士のデュエルを制したのは明らかに山口で、大舞台で長谷部誠とボランチを組む可能性が最も高いのは彼だろう。

 FC東京のサガン鳥栖とのスコアレスドローと、コンサドーレ札幌のヴィッセル神戸を相手にした0-4の大敗により、また広島には9ポイントのリードがある。しかしセレッソがサンフレッチェの弱点を突いたことで、城福監督は今後より綿密な対策を取ってくる相手に対抗するための答えを、中断期間中に見つけなければいけないだろう。それは4回目のJリーグ制覇を達成するには、避けて通ることのできない課題となる。

著者:チアゴ・ボンテンポ

1985年生まれのブラジル人ジャーナリスト。サンパウロ在住。幼少期よりスポーツとりわけサッカーを愛する。大学時代にジャーナリズムを専攻し2011年よりブラジル『Globo Esporte』で日本サッカーを担当している。ブラジルのボタフォゴ、アーセナル、そして日本代表の熱烈なサポーターである。将来の夢は日本語を流暢に扱うこと、富士山登頂、Jリーグスタジアムを巡ること。

Twitter: @GunnerTNB

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