“適正価格”という概念
一方でユベントス首脳陣は“マネー競争”を好まない傾向が強い、というよりは競争をする意義を見出してないという言い回しの方が理にかなっているかもしれない。昨今のメルカートでは代理人のマージン率の高騰をはじめ、全体的に選手が元々兼ね備えているクオリティや実績以外の要素により移籍金が跳ね上がっている現状が垣間見える。かつてマンチェスター・ユナイテッドからユベントスにフリーで加入し、4度のスクデットに加え1億500万ユーロ(約133億円)という破格の移籍金を置き土産に古巣へと出戻ったMFポール・ポグバを例にとっても、ここ2シーズンのパフォーマンスがこの移籍金に見合うだけのものであるとは言えないのが実情だ。
話題をこの夏のメルカートに戻すと、中盤の“人気銘柄”としてラツィオのMFセルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチの名前が紙面上を賑わせている。様々なエリアに顔を出し、懐の深さを感じさせるドリブルやパスの精度、さらにはバイタルエリアやボックス内での決定力など規格外のスケールを誇るこのセルビア代表にはユナイテッドやレアル・マドリード、バルセロナなど数多くのメガクラブが関心を示しており、ユベントスも獲得に向けて手を挙げていた。
ところがラツィオのクラウディオ・ロティート会長が1億ユーロ(約131億円)という“法外な”値札をつけるとユナイテッドをはじめ各クラブは“白旗”を挙げ、獲得レースから撤退する。その中、ユベントスも同選手のパフォーマンスと要求額を比較した上で獲得を見送る可能性があると伝えられている。この情報を耳にすると昨夏、パリ・サンジェルマン(PSG)のMFマルコ・ベッラッティの獲得から撤退した背景として、ジュゼッペ・マロッタGM(ジェネラルマネージャー)はPSGの8000万ユーロ(約102億円)という要求額が同選手のパフォーマンスや実績に釣り合わないという点を挙げていたことを思い出すティフォージも多いのではないのだろうか。
コンテ政権時には新戦力獲得に割り当てられる予算が少なかったがために、“人気銘柄”への獲得レースにそもそも参戦できる状況ではなかった。しかし欧州の舞台で毎シーズン好成績を収め、イタリア国内での1強体制を維持してきた努力もあり、現在は5年以上前と比較して補強資金も増大している。それでも特定の選手に対して必要以上の大金をつぎ込まず、適正価格を精査した上で獲得の可否を判断するユベントス首脳陣の手腕は、高騰に歯止めがかからない移籍市場においても「現実主義」を貫いたものであると考えられるのかもしれない。
著者:津田翔汰
フットボールトライブ編集部。Calcio,Bianconeroをこよなく愛する若武者
Twitter:@specialheart889
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