Jリーグ 名古屋グランパス

大物外国人選手を活かせない名古屋、スタッツが物語るポゼッションの非効率

左:ジョーの長崎戦前半のアクション分布図。下がった位置でのプレーが多く、ゴール前のアクションは少ない。右:ジョーのパス相関図。G・シャビエル(10)との関係は希薄だった。 写真提供:Wysout

 スタッツを見ても彼の空中戦の強さは明らかで、12回中7回に勝利し60%近い勝率を誇っている。長崎のファンマが11回中4回の勝利(勝率36%)であることと比較しても、かなり高い数字だ。しかしプレーの分布図を見ると、相手陣内の中盤でのアクションが目立つ。これは前述の通り味方が低い位置でボールを保持している際にパスを受けに下がったり、自陣からの長めのボールを収めようとしているためだが、ペナルティエリア内での仕事は数えるほどしかない。元ブラジル代表ストライカーの高さ、強さを存分に活用したければ、彼が相手陣内のより深い位置でボールに触れるようにする必要があるだろう。

 本来そのサポート役を担うはずの選手が同じブラジル人のガブリエル・シャビエルだが、長崎戦ではそのホットラインが見られることはほとんどなかった。実際にこの2人の間のパス交換は双方向に2本ずつの合計4本しかない。2人の関係からシュートに繋がったのは前半に相手陣内でボールを奪い、手数を掛けずにガブリエル・シャビエルのお膳立てからジョーがシュートを放ったシーンひとつだけだった。

 逆にジョーに最多の6本のパスを供給したのが強化指定選手としてこの日J1デビューを果たした榎本大輝で、84分には左サイドからゴール前へパスを送ってジョーのこの日唯一の枠内シュートを演出している。榎本はこの日の出場選手でダントツで1位となるドリブル13回中11回成功を記録しており(2位はガブリエル・シャビエルと長崎の澤田崇の4回成功)、今後より効果的な形でその突破力を活かせるようになれば名古屋にとって面白い存在になるだけでなく、ジョーの相棒としても最適かもしれない。

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