セリエA ユベントス

イタリア王者に迫る“最終ライン再編”問題。世代交代失敗の可能性も

スクデット獲得でトロフィーにキスをするジャンルイジ・ブッフォン  写真提供:Getty Images

 ユベントスは今夏に大幅な血の入れ替えを行うプランを立てていると以前からイタリア主要メディアが報じているが、ユベントスの右サイドを7シーズンに渡り支えてきたDFステファン・リヒトシュタイナーがボローニャ戦後、ミックスゾーンにおけるインタビューで今夏にクラブを離れることを明言。2011年にラツィオから加入した同選手は紛れもなく6度にも及ぶスクデット獲得全てに貢献した功労者である。

 続いて今季にビアンコネーロ(ユベントスの愛称)のユニフォームを脱ぐ可能性が高いと考えられる選手として、“BBC”の一員であったDFアンドレア・バルザーリが挙げられる。スペースのカバーリングに優れた同選手はクラブとの契約が今季終了後に満了を迎えるものの、未だに契約延長の発表が行われていない。またイタリアの一部メディアの報道によると、バルザーリは他クラブでのプレーを一切考慮していないものとみられ、今季限りでの現役引退と来季現役続行の狭間に立たされているようだ。

 そしてこの2選手に加え、GKジャンルイジ・ブッフォンの名前も忘れてはならない。17シーズンに渡りユベントスのゴールマウスを守り続けてきた“カルチョ界の生ける伝説”はピッチ上でのパフォーマンスについては説明不要であるが、ドレッシングルームにおいてクラブの精神的支柱としての役割を果たしていた。ブッフォンは日本時間12日未明に行われたレアル・マドリード戦の試合後インタビューにて「これが(僕のキャリアにおいて)最後のチャンピオンズリーグになるだろう」というコメントを残しており、今夏にスパイクを脱ぐ可能性を認めている。

 一方、昨夏に獲得したDFマッティア・デ・シリオは度重なる怪我に見舞われ、リヒトシュタイナーからポジションを奪うことができず、ティフォージからは加入当初からずっと懐疑的な視線を向けられている。またシャルケからレンタルで獲得したドイツ代表DFベネディクト・ヘーヴェデスは巧みなビルドアップを兼ね備えている点でボヌッチの代役として期待されていたものの、デ・シリオと同様、筋肉系トラブルに泣かされ公式戦出場試合数はわずか3にとどまっている。

 また、来季新たにユベントスのユニフォームに袖を通すことが決定している選手は現状アタランタのDFマッティア・カルダーラのみである。カルダーラがこれまでマンマークを主体としたジャンピエロ・ガスペリーニのもとでプレーしてきたことやビッグクラブとプロビンチャ(地方クラブ)でのプレーに対して求められるレベルの違いを考慮すると、同選手がアッレグリ監督の戦術に嵌る可能性は未知数だ。

 最終ラインの世代交代が今後数年間の最優先課題であるユベントスだが新戦力のパフォーマンスで誤算を生むことになると、カルチョ界の勢力図に大きな変更がもたらされる可能性も浮上するかもしれない。クラブ首脳陣はこの難題にどのように向き合うのか、今夏のメルカート期間における立ち回りに注目したいところだ。

著者:津田翔汰(フットボールトライブ編集部)

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