ラ・リーガ

スペインのローカルダービーを巡る旅:バスク・ダービー編

イクリニャ

イクリニャ(バスクの旗) 写真提供:Getty Images

 

歴史的なバスク・ダービーと、これからのバスク・ダービー

 独裁政権を敷いていたフランシスコ・フランコが死去したこの年のバスク・ダービーで、当時のビルバオのキャプテン、ホセ・アンヘル・イリバルと当時のソシエダのキャプテン、イグナシオ・コルタバリアが、バスクの象徴であり、抑圧の象徴であるイクリニャをセンターサークルに広げた。イクリニャは今も両クラブのスタジアムで毎試合たなびいている。

 今シーズンの「バスク・ダービー」は、アトレティック・クラブのホーム、サン・マメスで行われた第1戦を引き分けで終え、28日にラ・レアルのホーム、アノエタで行われた第2戦目はラ・レアルが3-1で勝利を収めた。青いチームがホームで勝利したのは2014年の1月ぶりだ。

 この試合には少なからぬ因縁があった。アトレティック・クラブでプレーしていたアイメリク・ラポルテが、1月にマンチェスター・シティに移籍したことで、その代役としてそれまでラ・レアルでプレーしていたイニゴ・マルティネスを獲得。移籍後初の「バスク・ダービー」だったのだ。

 もちろんホームのサポーターは、彼がボールを持つたびにブーイング。通常に比べれば、少し殺気立った雰囲気を感じた。それもあってかラ・レアルが主導権を握り、ミケル・サン・ホセのふたつのオウンゴールを含む3得点で快勝した。試合終盤にはダービーらしい小競り合いもあり、両チームの気持ちがぶつかり合う非常に見ごたえのある試合だった。

 6位以下が決定したアトレティック・クラブとともに、現在10位のラ・レアルの姿を来シーズンはヨーロッパの舞台で見ることができないのは残念だ。しかし「バスク・ダービー」は来シーズンも見ることができる。イクリニャが風になびくスタジアムで、次はどんなドラマが起きるのだろうか。

著者:土屋一平

フットボールトライブ副編集長。通称「ペペ」。ベティスをこよなく愛す(ベティコ)。

Twitter:@PPDOLPHINS

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