ラ・リーガ

スペインのローカルダービーを巡る旅:バスク・ダービー編

ETA

声明を出すETA(バスク祖国と自由) 写真提供:Getty Images

 

中央政府への反旗をひるがえすバスク地方

 実はこのバスクには、テロ組織のリストに加えられたことのある団体がある。「バスク祖国と自由」(通称ETA『エタ』)だ。彼らはフランコ独裁政権時に発足され、「マルクス・レーニン主義」を自称して数々のテロ事件を起こしてきた。さらにETAは政治部も設立し、「バタスナ」という政党で活動していた(2003年に非合法化)。しかも彼らが武装解除をしたのは去年の話。スペインに残る根強いナショナリズムの象徴的な団体である。

 ETAがフランコ政権に反旗をひるがえす形で設立されたように、多くの地方の州がこの時期に、アイデンティティの喪失につながりかねない迫害を受けた。バスクでもバスク語を使用することが禁止され、バスクの旗である「イクリニャ」(バスク地方のクラブのキャプテンはこの柄のキャプテンマークを腕に巻いている)を公の場で掲揚することが禁止された。ETAの活動も、このイクリニャを公に掲げることからはじまった。

 もともと経済的に豊かで、ひとつの国として成り立つ力を持っていたバスク地方。工業の発達でスペインの経済を支える存在でもあった。そしてスペインを支えた面で言えば、サッカーも同じだ。

 バスクからは優秀なサッカー選手が数多く生まれる。特にラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)とアトレティック・クラブ(アスレティック・ビルバオの愛称)からは歴史を彩った数々の名手が誕生した。

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