ラ・リーガ

スペインのローカルダービーを巡る旅:バスク・ダービー編

 日本にも「県民の色」が存在するように、スペインにも「州民の色」が、おそらく日本以上に存在する。そしてそれが最も端的に表れる場が「ダービー」であると私は思う。

 日本時間28日土曜日に行われた「バスク・ダービー」を皮切りに、スペインのラ・リーガ・プリメーラ・ディビシオン(スペイン1部)では、「ガリシア・ダービー」「バレンシア・ダービー」「セビージャ・ダービー」と、3週にわたって国内有数のローカルダービーが開催される。

 今回は『スペインのローカルダービーを巡る旅』と銘打って、この4つのダービーマッチをシリーズでお送りする。第1回は青と赤がスタジアムで入り混じる、「バスク・ダービー」を訪れる。

著者:土屋一平

 

バスクという地

 黒いバスク・ベレーを被ったおじさんたちが、それぞれ青と赤のユニフォームを着てスタジアムの隣の席に座り、試合を真剣なまなざしで眺めている。他のローカルダービーマッチでは珍しいが、「バスク・ダービー」では普通に見られる光景だ。スタジアムのいたるところにレアル・ソシエダの青とアスレティック・ビルバオの赤が点在している。

 フレンドリーなダービーマッチと知られる「バスク・ダービー」。彼らの生まれ故郷に対する帰属意識は、それぞれの州がひとつの国のような意識を持つスペインの中でも非常に強い。昨年独立問題に揺れたカタルーニャ州と同じように、スペインの歴史において多くの場面で中央政府に反旗をひるがえしてきた地方だ。

Previous
ページ 1 / 4