最後の理由は、VARが文化的に欧州よりも受け入れられやすいと思われる点だ。VARは急速に世界基準になりつつあるが、導入に熱心なのは伝統を重視する欧州よりもむしろ、MLSや中国スーパーリーグ、Aリーグなどのサッカーの世界における「新興国」のリーグだ。
歴史を振り返ればJリーグも世界で初めてVゴール方式を採用したリーグであり、強豪国に比べて歴史が浅いからこそサッカーの発展に目を向けてチャレンジできる土壌がある。欧州ではVARが試合の流れを妨げるとしばしば批判されるが、日本はアメリカなどと同様に試合の中断やタイムアウトのあるスポーツにも親しみがあり、その点でも抵抗は少ないかもしれない。
VARの運用方法はまだ完全に確立されておらず改善の余地を残すが、だからこそ独自のテクノロジーを発展させてきた日本には他国に追随するだけでなく、その技術と工夫で世界に新たな道筋を示すことを期待したい。VARの導入には施設や人材への投資が必要になるが、正しく使用することができればJリーグにとって大きなメリットとなる可能性を秘めている。
著者:マリオ・カワタ
ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC
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